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上司の「質問力」が部下を育てる

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上司の「質問力」が部下を育てる

🕙 2019-09-13 06:00 👤 大石 典史


日本の中間管理職の約9割はプレイングマネジャー?

今から一年程前になるでしょうか、あるWEBサイトの記事を読んで驚いた記憶があります。その記事には、「日本の中間管理職の約9割はプレイングマネジャーである」といった衝撃的な内容が書かれていました。


「プレイングマネジャー」とは、一般的に、部下のマネジメント業務に加えて、自らも現場仕事に時間と労力を割かなければいけない状態の方を指します。これは、会社の方針や人手不足等の事情により、現代社会ではやむを得ないことなのかもしれません。

たしかに、以前、私が勤めていた会社でも私自身がプレイングマネジャーでしたし、最近、企業における中間管理職研修に参加している人々の多くは、やはりプレイングマネジャーだったりします。

ひょっとしたら、このブログを読まれているあなたも、その中のひとりかもしれませんね。


プレイングマネジャーの切なる思いとは?

そんなあなたは、自分の部下に対して、ついこんなことを考えてしまうことがありませんか?


「おいおい、そんなことまで僕(私)に聞いてこないでよ。」

「それぐらい、自分で考えてくれないかなあ。」

「ちゃんと考えて行動してる?」


「よくわかりますね!」という声が聞こえてきそうです(笑)。

この状態に対するあなたの対処方法はどのようなものでしょうか?


A. ひとつひとつ丁寧に教えてあげる(あるいは、やってみせる)

B. 「以前、教えただろ!」と言って叱る(でも、結局は教えてあげる)

C. 教えるのが面倒なので、自分でやってしまう

D. 部下が自分で考えて行動できるように、問いかける


いかがでしょうか?理想は「D」と思いつつ、現実は、それ以外の選択肢を選んでしまっているのではないでしょうか。


上司に必要な「質問力」

そこで、今日あなたにお勧めしたいのが、「D」の「問いかける」という方法です。

これを一般的には「質問」と呼んでいますが、この「質問」にも大きく分けると2つの種類があると言われています。すなわち、ひとつは「(あなたの)情報収集のための質問」であり、もうひとつは「相手に気づきを与えるための質問」です。


今日あなたにお伝えしたいのは、後者の「質問」です。

「相手に気づきを与えるための質問」は、すでにスキルとして体系化されており、いろいろなアプローチがありますが、ここでは、いわゆる「5W1H」を使った質問方法についてご紹介したいと思います。


【相手の中にあるものを明確にし、具体的にしたい場合】

・When?(いつまで・いつから)

・Where?(どこで・どこに)

・Who?(だれが・だれに)


【相手の可能性や選択肢を広げたい場合】

・Why?(なぜ・どうして)

・What?(なにが・なにを)

・How?(どのように)


これを具体的な質問例で挙げてみます。


When:「それをいつまでにやりますか?」

Where:「それはどこに行けばわかりますか?」

Who:「だれがそのように言っているのですか?」


Why:「なぜそう思うのですか?」

What:「そのために何ができると思いますか?」

How:「それをどのように行いますか?」


「5W1H」を使った質問の優れているのは、自分(あなた)よりも相手(部下)の話す量が圧倒的に多くなるという点にあります(もちろん「質問」が効果的に機能した場合に限りますが)。このことにより、部下は自分の頭で考え、考えることにより「気づき」を得て、自ら行動できるようになっていくのです。


結果として、あなたがたとえ「プレイングマネジャー」という忙しい身であっても、必要以上に部下育成に時間を取られることはなくなり、あなたは自分の仕事にも注力できるという仕組みが出来上がります。


あなたもそんな「質問力」を自分のものにしてみたいと思いませんか?

大石 典史

東証一部上場企業2社を含む4社で法人営業、コンサルタント職、人事総務等を経験。現在は、銀座コーチングスクール(GCS)丸の内校代表、研修講師、パーソナルコーチを務める。国際コーチ連盟(ICF) 認定コーチ(ACC)。