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部下の納得感を高める目標設定・評価の方法とは
部下の納得感を高める目標設定・評価の方法とは
部下を持つ管理職やリーダーであれば、部下に対する人事評価で頭を悩ますこともあるでしょう。
本人が思っていたよりも低い評価となった部下に対しては、「やる気をなくしてしまうのではないか」、「会社を辞めてしまわないか」などの心配がある一方で、高い評価になった部下に対しては、「満足して努力をしなくなってしまうのではないか」という心配の声も聞こえてきます。
では、部下が評価に納得して次の目標へとチャレンジするためには、どのような評価やフォローを行えば良いのでしょうか。
部下の納得感を高める3つのポイント
評価に対する部下の納得感を高めるには、以下の3つのポイントがあります。
・適切な目標設定
・自社の評価の仕組みを知る
・評価に対する丁寧な説明とフォロー
適切な目標設定の方法
評価以前に大切なことは、適切な目標設定を行うことです。部下の目標設定は、上司や部下が一人で行うものではなく、上司と部下の共同作業であるべきです。
以下に、上司と部下の共同作業で行う目標設定の方法を説明します。
< 適切な目標設定方法 >
1)上位目標の説明
上司が、会社や事業部、所属するチームの目標を、具体的かつ丁寧に説明します。会社の経営理念や長期ビジョンから落とし込まれた目標であることや、どのように社会に貢献できるのかを示します。
2)個人の目標への落とし込み
上位目標から所属チームの目標までを説明した後は、個人目標への落とし込みを行います。目標は高すぎず、部下自身が目標達成までの道筋がおぼろげに見えていて、「よし、やれそうだ。チャレンジしてみよう」と思えることが重要です。
目標は具体的に、「いつまでに」「何が」「どのくらい」「どうなっている」のか、目標が達成している状態を言葉や文字で表せるようにします。
3)本人が得られるメリットの洗い出し
個人の目標が達成することで、部下本人が得られることを考えてみます。自分の将来にどのような良い影響を与えるのか、どのように成長できるのか、周囲の仲間にどのような良い影響を与えられるのかのイメージをつくります。
4)達成できた後の次の目標を考える
目前の目標設定ができた後は、さらに先の目標をおぼろげながらでも考えることができるとより効果的です。今回の目標が自身の成長やキャリア形成の最終ゴールなのではなく、通過点だということを認識できることで、より強い納得感を得られることでしょう。
上記のプロセスを順番に進めていくこととなりますが、途中でうまくいかない場合は、部下が納得のいくプロセスまで戻り、話し合いを続けます。
自社の評価の仕組みを知る
ルールを知らずにスポーツを楽しむことができないように、自社の評価の仕組みを知らずに自身の評価に納得することはできません。
部下がそれを知るためには、まずは上司自身がしっかりと自社の評価の仕組みを知り、部下に説明できるようにしておく必要があります。
< 上司として事前に把握しておくべきこと >
1)評価のプロセスを知る
評価の流れと評価者を説明できるようにします。二次評価や三次評価まである場合もあります。
2)自社の人事評価制度の思想・考え方
どのような思想で自社の人事評価制度がつくられているのかを理解します。
3)評価対象
会社は人材の何を評価しようとしているのか。職能ごとにどのような能力や成果が求められているのかを説明できるようにしておきます。
4)給与・昇給・昇格との関係性
昇格や昇給、給与と評価の関係を認識し、実際にどの程度金額に反映されるものなのかを説明できるようにしておきます。
評価に対する丁寧な説明とフォロー
上記に示したように、上司自身が評価制度を正しく理解し、部下とともに適切な目標設定を行ったら、期中で定期的な1on1ミーティングを行い、部下をフォローアップしていきます。
1on1ミーティングの中で、部下自身が目標に対しての進捗を確認したり、上司からのフィードバックを行ったりしながら、期の途中において、自分自身の「現在地点」を把握することは大切なことです。
期が終わり、評価のフィードバックを行う時にも、なぜこのような評価結果になったのかを丁寧に説明します。
時には、上位段階で一次評価より低く評価されることもあるでしょう。そのような時には、「俺は高く評価したのだが、上が評価を下げた」で説明を終わらせるのではなく、「上」が期待していることや意図などをしっかりと説明することで、部下の納得感は高まります。
まとめ
このように、評価に対する部下の納得感を高めるには、「評価制度の仕組みを知る」「適切な目標設定を行う」「期中や評価フィードバック時の丁寧な1on1ミーティングを行う」が有効です。
何よりも、部下が「上司が自分を大切にしてくれている」と感じること、信頼関係を構築することは納得感を高める上でも大切です。
そのためにも、普段から部下とのコミュニケーションの質を高め、量を増やす努力が必要です。1on1ミーティングやコーチングを導入する企業が増えているのも、そのような背景があるからです。
林 英利
JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)代表理事。大和ハウス工業(株)、トヨタ自動車(株)などを経て、プロコーチ・研修講師として独立。2015年より銀座コーチングスクール代表。国際コーチ連盟(ICF)日本支部 顧問