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1on1ミーティングとは何か

1on1ミーティングとは何か

🕙 2020-01-08 06:00 👤 向川 敏秀

1on1ミーティングを導入する企業が増えています。

しかし、1on1を正しく理解せずに部下と面談して

効果の上がらない上司が多いそうです。


まずは1on1ミーティングとは何か?

について正しく理解しましょう。

2020年のスタートにあたり、本年お世話になるであろう

企業各社の部下の成長と組織力の向上のために、

近年導入が増えている1on1ミーティングの魅力についてお伝えしていきます。


1on1ミーティングは2年前から導入する企業が増えてきました。

私たちプロコーチは、以前はコーチング研修のご依頼が多かったのですが、

2年前からコーチングに代わって1on1ミーティング研修のご依頼が増えてきました。


2年前に何があったのか?

1on1ミーティング(以下「1on1」)に関する書籍が出版されたからです。


本間浩輔:著「ヤフーの1on1」(出版:ダイヤモンド社)

世古詞一:著「シリコンバレー式最強の育て方」(出版:かんき出版)


では最初に1on1とコーチングの違いからお伝えしていきましょう。


1on1は対話の場、コーチングはコミュニケーションスキルのひとつ


まず1on1の定義ですが、

1on1とは、部下のために、部下が話したいことを継続して対話する場と定義されています。

1on1とはあくまでも対話の場であり、その対話の中で

主に以下3つのコミュニケーションスキルが使われます。


・ティーチング

・コーチング

・カウンセリング


ティーチングとは、部下が知りたい得たい知識や上司の体験談・アドバイスを伝えること。

つまり答えは、上司の中にあります。


それに対して、コーチングとは部下が経験の中から、学びを得ること。つまり、答えは部下の中にあります。

その答えを引き出すのが上司の役割であり、引き出す場が1on1ということです。


なお、ここでいうカウンセリングとは、心理学療法には至らず、部下に業務や社内の人間関係においてストレスがたまっており、その不平不満を言葉にしてもらい、精神的にスッキリしてもらうことが目的であり、必ずしも答えを引き出す必要はありません。

実際、飲みニュケーションとして実践された方も少なくないでしょう。

したがって、カウンセリングも上司でも対抗可能なコミュニケーションスキルです。


経験学習モデル


先ほどコーチングの解説の中で、部下の経験の中から学びを得ること

とお伝えしましたが、これは経験学習モデルと呼ばれています。


経験学習モデルとは、組織行動学者のデービッド・コルブが提唱しました。

経験して、内省して、そこから教訓を得て、次の機会に実践する、という

経験→内省→教訓→実践

のサイクルをまわすことで、人材育成していくということです。


そして、1on1では、

部下が経験したことについて話してもらい、

上司は一緒に内省して、そこから教訓を引き出し、それを次の機会に実践することを

アシストするという役割を担います。


人は独りでは内省はしつつも、それが的を得た教訓に至らずに、

同じような失敗や過ちを犯し続けることが少なくありません。

この負のスパイラルから脱することを、上司はサポートします。


1on1のテーマ


1on1では、部下が話したいことを話す場とお伝えしましたが、

部下が話したいことなら、何でも話せることが1on1の特徴です。


とかく、上司と部下の対話では、

重要度が高く、かつ緊急度の高い業務上の問題がテーマになっています。

これはもちろん、1on1ミーティングでもテーマとして取り上げられることは可能です。

ただし、そこでは上司と部下の関係ではなく、一緒に内省して、教訓を引き出す、

協働関係を築くことが重要です。


しかし、1on1では、それ以外のテーマも話して良いのです。

重要度は高いが、緊急度が低いテーマ。

部下にとっては自分の今後のスキルアップやキャリア形成が該当します。

日頃考えてはいても、なかなか相談に乗ってもらえる人が無く、

独りで抱え込んでフリーズしてしまう。

挙句の果てに、独りで勝手に思い込みで決断して、

転職や起業という、組織にとっても、本人にとっても残念な不安のつきまとう決断に至ってしまうことは少なくありません。


また、企業にとっては重要度が低いが緊急度の高いテーマもあります。

部下のプライベートに関するテーマが該当します。

どんなに優秀な人材でも、プライベートが上手くいっていないと、

それが仕事に影響するということはよくあります。


こういったテーマに関しても、上司は真摯に受け止めて、

経験→内省→教訓→実践

のサイクルをまわすサポートをしてあげましょう。


テーマによっては、コーチングで引き出すだけではなく、

ティーチングによって、上司ならどのような対応をしてきたか、

どのような経験・情報をお持ちなのか、

といった情報提供、アドバイスも必要です。


ティーチングとコーチングを使いこなすことにより、

部下のパフォーマンスを高めていくことが、

1on1を実践する上司の役割です。

向川 敏秀

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表