JRLA Staff Blog
組織構造と1on1ミーティング
組織構造と1on1ミーティング
1on1ミーティング導入検討の際に、よくいただく質問が、
「部下が10数名いるのだが、どのくらいのペースで1on1をやれば良いだろうか?」今回は私のアドバイスをまとめました。
一人の管理職が10数名も部下を抱えていると、
各回のセッションを1時間とした場合に、
1ヵ月で10数時間、セッションに時間を取られてしまいます。
部下1人につき、月2回ペースとなると、その倍の時間が必要となり、
管理職、特にプレイングマネージャーにとっては、
そもそも時間を取れるのか?という問題にぶつかります。
このようなご相談を受けた時に、私が毎回お伝えしていることを
4点ご紹介します。
既成の組織構造を疑う
まずは、既存の組織構造を疑うことから始めましょう。
一人の管理職に10数人の部下がいること自体、
組織構造としては異常です。
昭和の時代であれば、当たり前であっても、
多様性への対応が求められる令和の時代では異常ととらえるべきです。
10数人の部下と1on1を実施するのではなく、
4人くらいを適性人数として、組織を改編します。
これまで1on1ミーティングを導入してきた企業の約半数は、
導入を機に組織の細分化に取り組まれました。
管理職の立場は変わらずに、
管理職の下に中間管理職を数名おいて、小チームを複数つくること。
これによって、1on1の対象者が減り、
部下一人ひとりとの対話の時間が確保できるようになり、
今まで思ってもいなかったことを部下から聴く機会が作れるようになります。
1on1ミーティング導入をきっかけに、
組織構造の在り方をあらためて考え直してください。
さらに、この組織の細分化は副作用を生みます。
立場が人を育てる
副作用とは、新たに任命された中間管理職が大きな成長を遂げることです。
今までやんちゃ坊主に思えた部下が中間管理職として、
小チームの責任者を務めることにより、責任感が芽生え、
人間的に大きく成長するというケースは少なくありません。
立場が人を育てる
という言葉がありますが、まさにその通りです。
ある程度キャリアを積んでいながら、
責任感に乏しい、まわりを見ようとしない
という評価から、なかなか職階が上がらなかった部下が、
中間管理職になることによって、
見違えるように成長するということは少なくありません。
中間管理職への抜擢により誕生した新たなリーダーを
見守ってあげられる管理職のサポート力が人を育て、組織を育てます。
管理職には断捨離が必要
中には、まだ小グループを任せられるほどキャリアを積んだ部下がいない組織もあります。
その際でも、管理職は月に1度くらいのペースで、部下全員と対話の時間を作るべきです。
突然、部下が退職していく
という現象は人材の流動化が激しくなった現代では、
止むを得ない状況ですが、
実は日頃から話を聴く環境をつくることで、
未然に思い止まらせることができたり、やむを得ない事情で部下が退職する場合でも、
早めにその対処を打つことができるようになります。
そのためにも、管理職は部下の話を聴く時間を作ることが必要です。
そんなこと言っても・・・
と言う泣き言をよく聞きますが、
断捨離してください。
無駄な時間、無駄なタスクは多々あります。
特に、日本人は無駄に会議が長いという傾向があります。
会議を効率よく、時間内で進める
情報共有のための会議を廃止する
などは、急激な変化、成長をしている企業でよく見られることです。
月に30時間、バッサリ削るために何をやめるべきか、
あらためて慣習を見つめ直すことをおススメします。
メンターを選べる制度をつくる
もうひとつ検討していただきたいことが、
直属の管理職以外のメンターと、面談できる制度にするということです。
我々プロコーチは、マイコーチを3-4名くらい持っています。
事業のことであれば、Aコーチに依頼する
キャリア形成のことであれば、Bコーチに依頼する
子どもの教育のことであれば、Cコーチに依頼する
といった感じで、テーマごとにマイコーチを使い分けています。
同じように、部下がテーマによって、
このテーマは直属の管理職に依頼しよう
このテーマは人事部のメンターに聴いて欲しい
こういうテーマなら、共通の環境にいる隣の部のメンターに聴いて欲しいなど。
1on1ミーティングとは、部下が話したいことを継続して話せる対話の場であり、
その実現のためには、誰に話すか、も重要な要素です。
複数のメンターの中から選べる制度にしている企業ほど、
1on1ミーティングは定着しています。
部下と直属の管理職のコミュニケーション活性化のために1on1を導入する
では、会社都合の導入と思われても仕方のないことです。
ぜひ柔軟な制度導入と組織改編に取り組んでください。
向川 敏秀
JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表