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キャリアを描けない部下が取り組むべきこと

キャリアを描けない部下が取り組むべきこと

🕙 2020-01-22 06:00 👤 向川 敏秀

1on1ミーティングでキャリア形成をテーマに選びながら、キャリアを描けない部下がいます。

彼らに足りないことは高い志の他にも、情報・知識・経験が挙げられます。

1on1でティーチングしながら、情報収集、思考する、行動に移す意欲を促しましょう。

上司による1on1ミーティング導入とは別に、

弊社社員に1on1ミーティングを実施して欲しい

という依頼をいただきます。

何人もの社員と1時間交代でセッションを繰り返すのですが、

具体的なキャリア像を描き、モチベーションを高めて行動に移していかれる社員と、

キャリアを描くことに時間を要する社員に分かれます。

キャリアを描くことに時間を要する社員に関しては、

メンターを務める上司の方々も労を要していると思いますので、

その対応方法のひとつをお伝えしていきます。


読書を勧める

漠然と、もっと高いキャリアを目指していながら、

その高いキャリアとは何か?

で思考がフリーズしてしまう部下が少なくありません。

このような部下は、1on1ミーティングに対して、

「教えてくれる」を期待しています。

教えてもらうばかりでは、と疑問を感じる上司もいらっしゃると思いますが、

完全に知識・情報不足なので、1時間たっぷり情報提供してあげましょう。

情報提供のコツは、体験談ばかりではなく、

業務における必読書、参考になった本、勇気づけられた本、など

書籍から引用して情報提供することです。

こういう本があるけど、読んだことある?

こういうことが書いてあって、キャリア形成にすごく役に立ったよ

この本を読むこともおススメしておくよ。

こういった感じで、単なる一方通行の情報提供ではなく、

「読書」という行動を促しましょう。


自分に置き換えさせる

もうひとつ読書を勧める上で大切なことは、

気づきを自分に置き換えさせるということです。

本を勧めると、真面目な部下はちゃんと次のセッションまでに読んできます。

そして、本の感想を聞かせてくれます。

「この一文が心に刺さりました。」

「自分はまだまだ努力が足りないなぁと感じました。」

「この方法を真似てみようと思います。」

こんな感じ。

これでは、経験学習につながりません。

読書を勧める際に、

気づきになった点をピックアップすることと併せて、

その気づきを自分の行動としてどのように活かしていくか

自分に置き換えて考えるように伝えましょう。

現場で起きているひとつの事象に関して、複数の本を読めば、

複数の対処方法を選択肢として挙げることができます。

自分であれば、どの選択肢が最適なのか

比較検討の上、意思決定させる

この思考習慣を付けさせることによって、

思考の幅が広がり、行動を起こす上での選択肢も広がります。

複数の選択肢から比較検討により意思決定することで、

成功確率も上がります。

大切なことは思い込み、決めつけ、で意思決定させないこと。

キャリアには無限の可能性があるのですから。


ロジカルにアウトプットしてもらう

お薦めの書籍を紹介して、自分に置き換えて考えることを伝えたら、

次のセッションで、ぜひそのアウトプットをさせましょう。

私が1on1で対応する社員の方々の中には、

伝え方が下手な方々が少なくありません。

同じ言葉、抽象的な言葉を何度も繰り返すだけで、

全然行動が具体化されていない方々が見受けられます。

このような状態では、

キャリアを描き、実現に向けて行動を起こす

といっても、何ら具体的な行動になりません。

キャリア形成のための選択肢を増やすとともに、

ボキャブラリーを増やすことも指示してあげると良いでしょう。

目指すべきキャリア像が

ドラマのクライマックスシーンのように、

具体的な映像として上司と部下の対話の中で共有されていく。

そのための思考と表現方法のトレーニングを積み重ねていく。

キャリアを描くことに時間を要する社員

には効果的な方法なので、ぜひお試しください。


向川 敏秀

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表