JRLA Staff Blog

図書紹介『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』

図書紹介『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』

🕙 2020-02-03 06:00 👤 林 英利

いくつかの企業での経験を経て、スターバックスコーヒージャパン株式会社のCEOとなった、岩田松尾氏のリーダーシップに関する書籍。

この本には「ついていきたい」と思われるリーダーになるための考え方が著者の経験をもとに示されています。以下に、その概要をご紹介します。


「ついていきたい」と言われるリーダーの7つのポイント


1.リーダーは、かっこいいとは限らない

世間には、カリスマ的なリーダーも存在するが、リーダーシップは生まれつきのものではない。誰でも謙虚な姿勢を持ち人格的に優れたリーダーになることができる。

また、リーダーと言えば、人を使い、人を動かすイメージがあるかもしれないが、リーダーは、人を納める前にまず、自分を修める必要がある。自分を修めることもできないのに、人を治められるはずなどない。

我こそがリーダーだ、などと思わなくてもいいし、示さなくてもいい。自分で自分を修めようと努力し、コツコツ頑張って自分を高めていくと、周りから推されてリーダーとなっていく。

リーダーとして組織を率いることになったら、真っ先に考えるべきは、自分たちの存在理由(ミッション)は何か、ということだ。それが崇高なものであればあるほど、多くの人に響くものになる。


2.リーダーは、饒舌でなくても構わない

大切なことは、積極的なコミュニケーションをとることだ。しかし、それは饒舌になることではない。リーダーの日々の言動、さらには仕事ぶりそのものが、コミュニケーションになっている。

リーダーは、言葉一つで部下のやる気を変えることができる。たった一つの上司の言葉が、萎縮することなく、伸び伸び仕事をすることを可能にすることができる。それだけの言葉を、リーダーは発することができる。

リーダーは、「一緒にやっていこう」という姿勢を打ち出すことが重要だ。部下は、一緒に目標に向かっていく仲間なのだから、一緒にミッションを考えればいい。

リーダーとして部下に話をするときに最も重視しなければならないのは「分かりやすさ」だ。シンプルでキャッチーなフレーズを作ることで、チームや組織にやろうとしていることを浸透させ、勢いをつけることができる。


3.リーダーは、部下と飲みに行かない

関係を円滑にするために、部下と酒を飲みに行く上司やリーダーも少なくない。しかし、それでいいのだろうか。大事な話だからこそ、酒の場ではなく、しらふの場でしっかりと聞き、話し合うべきではないか。

飲みに行かなくてもいいような関係を日頃から作っておく努力こそが求められているのではないか。酒に逃げてはいけない。


4.リーダーは、人のすることは信じてはいけない

リーダーは、人を信じても人のすることを信じてはいけない。人間はうっかりミスを起こすものだ。

意思決定で最も失敗しやすいのは、その材料となる「事実」が足りなかったとき、あるいは、「事実」が間違って伝わっていたときだ。重要なのは、正しい事実を集める努力をすること。

部下から報告を受けるときは、まずは事実を聞く。その上で、それについて部下はどう思ったのかを聞く。これをやらないと、判断だけを聞いて終わってしまいかねない。事実を重視することだ。


5.リーダーは、立ち止まらなければならない

人間に与えられている時間は、誰に対しても公平だ。その時間をどう有効に使うか。その意識の差が、ゆとりを持って行動している人と、そうでない人に分かれる。やれることからすぐにやっていく。これが行動のスピード感につながっていく。

一方で、立ち止まってじっくりいろいろなことを考える時間も大切だ。そうすることが、長期的に見て正しい行動につながっていく。

いろいろなことをまとめて考えられる時間を、最低3時間はとるとよい。


6.リーダーは、多読家である必要はない

多くの人は、リーダーには多読家が多い、という印象がもっているかもしれない。しかし、リーダーは多読家でなければならないとは思わない。

同じ本でも、読む時期によって受け止め方が変わるのは面白い。10年前に読んだときと、今とでは気になる箇所が変わることもある。

いい本は、部下やチームと共有するとよい。書籍によって共通言語を作ることができ、そこからコミュニケーションをスタートさせることができる。

チーム内でコミュニケーションのステージを上げるためにも、書籍という情報の共有は価値がある。


7.リーダーは、弱くても構わない

そもそも人間というのは、弱いものである、と理解すること。悩んだり、戸惑ったり、クヨクヨしたり、イライラしたり、怒ったり、不機嫌になったり、誘惑に心を奪われたり、はやる心を抑えられなかったりする。それが人間だとわかっていることだ。

まだまだ自分は未完だと認識し、未完だからこそ努力しなければいけないと思う。そういう姿勢を持っているからこそ、常に成長が続く。基本的に伸びていく人というのは、謙虚な人だ。まだまだだ、これからだ、という意識を強く持っていることこそ、成長し続けることができる。


無心の心を持つ

部下が「ついていきたい」と感じるリーダーの人間力とはどのようなものなのでしょうか。どうすれば、人間力を示すことができるのでしょうか。それは、「無心の心を持つ」ということだと著者は説きます。

リーダーが自分の出世や、自分の結果を出すためだけに働いていたとして、その人のために頑張ろうと、部下は思うでしょうか。

重要なのは、志(ミッション)であり、自分は何のために仕事をしているのか、ということを示せること。そして、それをしっかりと周囲に語り続ける必要があります。

志を持って、周囲への感謝を忘れない。そういうリーダーに部下は「ついていきたい」と思うのでしょう。


林 英利

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)代表理事。大和ハウス工業(株)、トヨタ自動車(株)などを経て、プロコーチ・研修講師として独立。2015年より銀座コーチングスクール代表。国際コーチ連盟(ICF)日本支部 顧問