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社員の価値観を把握する方法

社員の価値観を把握する方法

🕙 2020-02-05 06:00 👤 向川 敏秀

1on1で大切なことは、社員のキャラクターを受け止めてあげること。

ただし、社員全員が素の自分を表現しているとは限りません。

社員のキャラクターを把握する診断も取り入れてみましょう。


1on1ミーティングでは、社員のテーマに合わせて、

ティーチングやコーチングのスキルをふんだんに使い、

社員のパフォーマンス向上を促しますが、

その際に、心掛けていただきたいことは、

社員個々の性格や価値観に応じた適した対応をすることです。

社員のコミュニケーションタイプを分類・把握する方法としては、

コーチ・エイが開発した「タイプ分け」が有名です。

「タイプ分け」では、人のコミュニケーションスタイルを

以下4タイプに分類しています。

●コントローラー 人や物事を支配していく

●アナライザー 分析や戦略を立てていく

●プロモーター 人や物事を促進していく

●サポーター 全体を支持していく

この「タイプ分け」以外に私がよく利用している価値観の分類方法を

今回はご紹介しておきます。

シュプランガーの6つの価値観

エドゥアルト・シュプランガーはドイツの心理学者で、「価値類型論」の提唱者です。

「価値類型論」とは、「権力・経済・社会・理論・審美・宗教の6つの価値観のうち、どれを志向、目標においているかによって分類」する理論です。

以下に6つの価値観それぞれを簡単にご紹介しておきますね。

●権力的価値観

社会的な強さを重視する人です。

支配欲が強く、他人から押さえつけられることを嫌います。

トップに立ちたい、誰にも指図されたくない、自分の思い通りに動かしたい、こうした願望がある人が権力的価値観の強い人です。

政治家や社長になりたがる人に多いです。

●経済的価値観

お金がすべての人です。

損得勘定が強く利己的です。

物事の効率を重視して、無駄を嫌います。

物欲や自慢願望も強く、高級なものに憧れます。

起業家に多いです。

●社会的価値観

愛情や人とのつながりを重視します。

孤独を嫌い、社会的なつながりを持つことで安心感を得ます。

協調性に優れていますが、出る杭を打つタイプなので、

平均意識が強すぎるところがあります。

思いやりにあふれているので、ボランティアや福祉などに興味を持つ人も多く、困った人を救うという人間愛に目覚める人も多いです。

●審美的価値観

綺麗なものへの憧れが強く、自分やまわりすべてが美しくあるべきと考えます。

容姿から始まることが多いですが、やがて人間としての美しい生き様を実現しようと、独自の世界観を持つ人も多いです。

デザイナー、メイクアップアーティストなど、美を意識する職業の人に多いです。

●理論的価値観

人生において考えを整理しながら生きる人です。

身の回りや自身に起きたことを冷静に分析し、

人生とはこういうものだ、と独自の世界観を作り上げ、

その中で合理的に動いていきます。

客観的な目で物事を冷静に見ており、

冷めた目で人生を歩んでいることも少なくありません。

●宗教的価値観

絶対的な心の安心・安定を求める人です。

魂から救われたい願望があり、肉体を失った後の世界を意識して、

そのために現在の生き方を工夫しようとします。

見えないものや、現代の科学では解明できないことに興味を持ち、

その現象と結果に価値を置きます。


いずれも極端な表現になっていますが、

私が特に着目しているのが、宗教的価値観。

組織に入ることで、所属欲求が満たされて満足するような

内向的な社員を見極めるためには、

心の安心・安定を求める度合いも、価値観の指標のひとつとして

見逃せないでしょう。


6つの価値観の診断方法

診断方法としては、

インターネット上にいくつか無料診断ツールがありますので、

使ってみることをおススメします。

私は診断ツール以外に、

社員個々が、どの価値観が強いのか自己診断していただいています。

6つの価値観それぞれに0-10の11段階評価で、

5を「どちらともいえない」として、

価値観の強さ/弱さを回答していただいています。

診断結果としては、ひとつの価値観だけ

突出しているという社員はほとんど見受けられません。

6つのうち、2-3の価値観が強めに出ており、

その価値観を重んじて、1on1で対応すべきと心得ています。

権力的価値観や理論的価値観の強い社員は、

受け止めた上で、価値観を促す問いかけをすると

とても前向きに思考、行動を起こします。

社会的価値観や審美的価値観の強い社員は、

その価値観を受け止めてあげることで、信頼関係が深まり、

アドバイスや提案も素直に受け入れてくれるようになりました。

まずは、皆さんの職場でも遊び心でアセスメントしてみてはいかがでしょうか?

向川 敏秀

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表