JRLA Staff Blog
書籍紹介「リーダーシップを鍛える ラグビー日本代表「躍進」の原動力
書籍紹介「リーダーシップを鍛える ラグビー日本代表「躍進」の原動力
元ラグビー日本代表メンタルコーチのリーダーシップ論が書かれた本をご紹介します。
可能性を信じる マインドセットから始まるリーダーシップ
マインドセットとは、目標を達成するために課題に取り組む際の思考や姿勢のことをいう。
リーダーの仕事の一つは、変化を信じない「フィクスド・マインドセット」から、変化を信じる「グロース・マインドセット」へと、導くこと。
「やればできる」と可能性を信じている子どもの方が、「もともと持っている資質は変わらない」とと思い込んでいる子どもより、学力が延びることが実証されている。
マインドセットを変化させるための三つのポイント
1 新しい経験を拒まない
2 習得への情熱を持つ
3 限界を決めない
情熱には「良い情熱」と「悪い情熱」がある。良い情熱とは「調和的情熱」で、悪い情熱は「執着的情熱」だ。
「パワー・オブ・イエット」とは、現状を抜け出すために工夫しながら、新しい経験を積んでいく状態のことをいう。「まだまだこれから」という前向きの姿勢が成長を生む。
「成長するチーム」のリーダーシップ
チームが成長するための6つのポイント
1 コミットメントとモチベーション
2 自信
3 コミュニケーション力
4 フィードバックとコメントの受け取り方
5 集団擬集性とリーダーシップ
6 個々の心理的スキル
「できる」という感覚を積み重ねることによって、自信はチーム内で伝播する。
コミュニケーション力アップのため、バディーシステムを採用し、練習の前と後にポイントの確認をバディーで行なった。
自分たちで決定する経験は、内発的なモチベーションを保つ大きな条件となる。
変革型リーダーシップがチームを進化させる
カリスマ性がなくても、リーダーシップについての思考や行動を学び、スタイルを確立することによって、リーダーシップは身に付く。
男性中心で強い同調圧力や年功序列的な人材運用などが見られる日本型組織は、機能不全に直面している。
変革型リーダシップとは、リーダーがメンバーに情動的に訴えかけてモチベーションを鼓舞することで、組織に変革をもたらす脱従来型のリーダーシップである。
変革型リーダシップに必要な4つの要素
1 理想的な影響力
2 モチベーションの鼓舞
3 個々への配慮
4 思考力への刺激
チェンジ・エージェントになれるのが現代的なリーダー。
相互性の高い組織には、「シェアド・リーダーシップ」が有効である。
成功をもたらすハードワークとレジリエンス
成功には様々な形があるが、どんな成功にもハードワークとレジリエンスは欠かせない。
学びながら、工夫しながら、何かに取り組むことが本来のハードワークである。
ハードワークに必要なマインドセット
1 努力は、できるようになるための近道と捉える
2 ミスではなく、成し遂げたいことへの注意を向ける
3 わからないことは質問し、答えや基準を明確にする
レジリエンスとは、思考と行動の過程を変化させることで、できるだけ前向きに挑戦できる習慣を身に付ける力
レジリエンスを鍛えるためには、以下のトレーニングが有効である。
1 家族・同僚・友人との有効な関係性を重視する
2 自分自身を理解して肯定する
3 できたことや良かったことを確認する
4 大義を掲げ、目標を決める
5 成し遂げたいことに注意を向ける
6 イライラや不安を自分でストップする
7 楽観的に物事を捉えることを選択する
8 グレーゾーンを受け入れる
9 機転を利かせる
10 人生を長い目で見る
フォロワーの可能性を引き出す
変革型リーダーとは、フォロワーが内発的なモチベーションを得て、それを維持できる環境をつくるリーダーである
リーダーのNGワード、NG行動
1 交換条件を出す
2 失敗だけ叱る
3 むやみに褒める
4 無視する
5 一方的な判断を押し付ける
6 競走を煽る
7 人格否定と暴力
いまどき必要なコミットメント
1 仕事を楽しむ
2 仕事以外に調整したいことを持つ
3 自分への投資を惜しまない
4 今の仕事に感謝する
5 プレッシャーを力に変える
生産性を上げるためには、「この方法でどれだけ時間がかかり、効率が上がるのか」と合理的に考える変革型リーダーが必要である。
林 英利
JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)代表理事。大和ハウス工業(株)、トヨタ自動車(株)などを経て、プロコーチ・研修講師として独立。2015年より銀座コーチングスクール代表。国際コーチ連盟(ICF)日本支部 顧問