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1on1ミーティングに自由度を持たせる

1on1ミーティングに自由度を持たせる

🕙 2020-02-12 06:00 👤 向川 敏秀

1on1ミーティングの効果が上がらないという問題意識を持ってコミュニケーションスキルを学びに来る管理職の方々がいるが、効果が上がらない原因は、1on1の自由度にもある。

今回は効果を上げる4つの自由度について解説する。

近年、1on1ミーティング(以下、1on1)を導入する企業が急増している。

一方で、公開講座には、1on1の対話が上手くいかない、あまり成果が出ない

と問題意識を持って受講されるマネジメントクラスの方々も増えている。

しかし、このような受講者のお話を伺っていると、1on1の効果が上がらない原因は、

コミュニケーションスキルの問題だけではなく、導入制度にも問題があると感じられる。

制度の問題解決のキーワードは「自由度」

今回は4つの自由度について解説する。


1on1のテーマの自由度

1on1で社員が話したいテーマは、重要度と緊急度の4象限に分類すると分かりやすい。

1on1のテーマは業務上重要度が高く緊急度も高いテーマに限らない。

重要度は高いが、緊急度の低いテーマ、

たとえば、スキルアップ、資格取得、キャリアプランなどは、

気がかりであっても、緊急度が低いため、

社員は「上司は忙しいから」と遠慮してしまい、なかなか相談しようとしない。

相談する相手がいないため、独りで抱え込んでしまい、

モチベーションが低下したり、時には退職を考えてしまうなど、事が大きくなってしまう。


また、業務上重要度は低いが、緊急度の高いテーマもある。

社員のプライベートに関する気がかりなこと、不安や不満などである。

プライベートに不安などがあると、業務への集中力が落ちてしまうことは誰にでも経験があるだろう。

これらのテーマ、いずれであっても話すことができる場が1on1である。

社員のパフォーマンス向上のためであれば、業務上の重要度や緊急度に関わらず、

何でも話せるという安全安心の場を提供するというルールを社内全員に周知すべきだ。


メンターを選べる自由度

1on1のメンターだが、多くの企業では直属の上司が務めるというルールにしている。

これも社員の自由度を損なう誤ったルールだ。

テーマによって、直属の上司以外にも情報通の上司や、

そのテーマに関して話しやすい人柄の上司・先輩もいる。

外資系企業では、社内メンターを育成して、社内メンターの中から、

社員が選べるというルールにしている企業が多い。

何でも話せるという安全安心の場を提供するというルールのもと、

1on1のメンターは社員が選択できるようにすべきである。


場所も選べる自由度

1on1の物理的な場も、社員とメンターで自由に選択できるルールにすべきである。

毎回、会議室とは定めず、たまには社外のカフェや公園、居酒屋などで実施するのも良い。

パーソナルコーチングでは、物理的な問題からインターネット上の通話ソフトを利用したり、

ホテルのラウンジや公園などで実施しているケースも少なくない。

居酒屋でお酒を飲みながら相談する、というのは古今東西関わらずよくあるシーンであろう。

いずれの場所でも問わない。

社員がリラックスして安心して話せることを優先すべきである。


頻度も選べる自由度

最後に、1on1の実施頻度の自由度である。

1on1は月1回、週1回など定期実施を義務付けている企業が多い。

これは逆に社員を拘束することになり、非効率である。

1on1開始前に単発セッションを実施して、

社員から目標達成したい、問題解決したい、テーマを伺い、

それをいつまでに何回くらいのセッションで実施したいのか?

意向を聞いた上で、回数と期間を決める。


特に目標設定、問題解決においてサポートを受けたいテーマが無ければ

実施する必要は無いのである。

定例化することにより、社員のメンターに対する依存心が高まるリスクがあるので、

逆効果である。

考課面談などで、定期的に1on1のテーマ収集をしつつ、

社員の必要に応じて実施するという自由度を持たせるべきである。


1on1導入によって、今まで自社の規則や慣習に束縛されていた社員が、

主体性を持ち、大きな成長を遂げていくことを期待する。

向川 敏秀

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表