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役員が “新米上司” に与えた言葉

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役員が “新米上司” に与えた言葉

🕙 2019-09-23 06:00 👤 林 英利

初めての部下ができて、「どのように部下に接したら良いのか?」とか、「どうしたら彼らの良き支援者になることができるのか?」などと考えている方も多いのではないでしょうか。

私自身も、様々なビジネスシーンでリーダーの役割を担うことがありましたが、チームメンバーと大きなやりがいを分かち合った経験もあれば、胃を痛めるほどの苦労も数多くありました。

そのような私の経験の中から、初めて部下を持つことになった読者の方に、以下のエピソードをご紹介したいと思います。


◆不景気どん底の中で

私は大学を卒業し大手住宅メーカーに就職しました。東京で生まれ育った私ですが、最初の勤務地は東京から遠く離れた札幌支店でした。

配属先は「集合住宅工事課」。設計図に描かれた建築物を、定められた予算の中で、安全管理・品質管理を行いながら、契約工期内に完成させるための「施工管理」という業務の担当となりました。

その頃、日本全体は不景気の空気に包まれ、北海道においては、歴史ある北海道拓殖銀行が経営破綻するなど、日本の中でも特に深刻な不景気を迎えていた時期でした。

支店の受注量も大きく減少し、数百名いた支店の社員は半分に、私の課については課長以下の5名が全員転勤となり、私一人となってしまったこともありました。

その後、まだ20代だった私の下に後輩が2名ほどできたのですが、課長不在の中で、私が彼らの面倒も見ることになりました。

最初は、どのように後輩たちを育てたら良いのか分からず、指示する内容が二転三転したり、解決策を見つけられず後輩たちと一緒に悩んでしまったり、後輩の疑問に対し、「それは、しょうがないことなんだよ。」などしか言えず、彼らを困惑させてしまったことも多くあったかと思います。


◆ 役員からの「目から鱗」のアドバイス

そのような時期に、本社から技術部門の役員が視察に見えて、私に次のようなアドバイスを与えてくれました。


「仕事に困ったら、”一段上の立場” で考えてみてごらんなさい。」


つまり、「平社員であれば主任の立場で」、「主任だったら課長の立場で」考えてみることで、物事を大局的に(俯瞰して)見ることができるというわけです。

当然、初めからそれでうまくいくようになったわけではありませんが、私の意識は変わり、他の課の課長の様子を観察したり、部長に私の考えを話してみてフィードバックをもらったりするようになり、「上司」の立場のやりがいと、組織で働く仕事の楽しさを覚えるようになりました。

支店の管理職会議に出席したり、部長や他の課の課長と打合せや調整を行う上で、「お前じゃダメだ」と言われないように、現場の課題や経営数値などもしっかりと把握するようになったほか、後輩たちからの相談には、親身になって接するようになりました。


◆「一緒に働きたい」と言われる上司になるために

ある時、後輩の一人に、「以前と比べて仕事がとても楽しくなりました。この課に配属になって本当に良かったです。」と言ってもらえた時には、心が踊るような嬉しさと、「もっと頼りになる先輩・上司になろう」と思いました。

直属の上司がいない経験は、大変貴重なものとなりましたが、「一段上の立場で考えること」は、上司のいる・いないに関わらず、自分の成長に役立つものではないかと思います。

昇級してから変わるのではなく、今のうちから「一段上の思考」を持ち準備をすることで、より良い「一緒に働きたい」と言われるリーダーになれるのではないかと思います。

素晴らしいリーダーになりますように!


林 英利

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)代表理事。大和ハウス工業(株)、トヨタ自動車(株)などを経て、プロコーチ・研修講師として独立。2015年より銀座コーチングスクール代表。国際コーチ連盟(ICF)日本支部 顧問