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人材育成担当者の悩み「中途採用・負のスパイラル」
当ブログでは、組織内の研修・人材育成担当者の方、管理職やリーダーの方々に役立つ情報を発信しています。組織改革、管理職育成、リーダ研修、人材開発、リーダーシップ開発、ビジネスコミュニケーションなどのご参考になれば幸いです。JRLAの理事3名が執筆を担当しています(月:林、水:向川、金:大石)。
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人材育成担当者の悩み「中途採用・負のスパイラル」
日々、様々な業界の人材育成担当者の方々とお話をする機会があるのですが、最近、ある共通点が気になったので、当ブログでご紹介したいと思います。
それは「中途採用」に関するもので、管理職に関する問題と、一般職に関する問題、そして、その接点に関する問題です。
これらの企業(業界)の背景の共通点としては、介護事業やアウトソーシング事業など、成長傾向にある業界に多い問題のようです。
業績が伸び、中途採用が多い企業の問題点
いくつかの事例をご紹介しましょう。
A社(介護事業)
毎月数十名の現場スタッフを採用しているが、全体の人数は増えておらず、人材の「自転車操業」状態になっている。新人に対する実務研修で手一杯で、管理職教育は十分にできていない。
B社(アウトソーシング事業)
事業が大きく成長する中で管理職が不足。中途採用などで補うが、マネジメント研修は行われておらず、管理職経験がない人材も現場に配属されることも珍しくない。その結果、組織はうまく回らず、退職者も絶えない(管理職・部下ともに)。
C社(倉庫業)
管理職はプロパーや中途採用、親会社からの転籍者などそのキャリアは様々で、部下育成方法は各自に任されている。しかし、いまだに「見て覚えろ」的な旧式の教育方法が多く、案の定、部下は育っておらず、退職者も目立つ。
上記の3社の共通する問題点は、「新人や現場スタッフの教育はある程度行われているが、管理職層に対する教育は十分とは言えない。現場で上司が部下をフォローしきれておらず退職者は絶えない。退職者の穴を埋めるべく、新たに中途採用が必要になるなど、悪循環が続いている。」と言えるのではないでしょうか。
これをもう少し詳細に表すと以下のようになり、ドミノ式に問題がさらに次の問題を引き起こしていることが分かります。
問題点1:定着率が低く、人材の「自転車操業」になっている
問題点2:現場スタッフの受入教育に多くの工数やコストがかかっている
問題点3:受入教育で手一杯で、管理職教育まで手が回っていない
問題点4:経験もなく教育も受けていない中途採用管理職が現場に放り込まれている
問題点5:そのような管理職の元で、部下が疲弊し退職していく
問題点6:管理職にも限界が来て退職していく
上記の共通の問題点を図にすると、次のように表すことができます。
まさに「負のスパイラル」状態になっており、「バケツの底に開いた穴」をふさがない限り、このスパイラルは永遠に続いていくでしょう。(会社の体力が続けばですが…)
解決のためのステップは?
では、このような問題を解決するためには、どのように進めていけば良いのでしょうか。以下のステップは一般的なものではありますが、やはりこのステップで取り組むことが基本となります。
ステップ1:組織が求める人材像を明確にする(スキルや能力に加え精神面も)
ステップ2:教育体系を設計する(どのような教育を行えば理想の人材像に育つのか)
ステップ3:教育体系の確立までの実行計画をつくる(どのような順番で取り組むのか)
ステップ4:実行とともに点検を行う(進捗管理と必要に応じて計画の修正)
これらを担当者が一人で取り組むことは容易ではありません。社内でプロジェクトチームをつくり継続的に取り組む体制をつくるか、または外部の専門家などの力を借りて推進していく必要があるでしょう。
会社の運命を左右する「重要だが急がない」こと
例えるならば、川岸をきれいに保つためには、川岸の清掃にとどまらず、川上までさかのぼって対策を講じなければ事態は良くなりません。
企業の中においても、現場で発生している問題を根本的に解決させるためには、仕組みの構築や見直し、さらにはリーダーの教育が不可欠です。
大きな取り組みとはなりますが、これをなくして現場の改善はあり得ません。人材育成担当者のあなたが、まずは声に出してみて、仲間づくりから始めることも良いでしょう。
当協会でも、個別にご相談を伺っていますので、どうぞご利用ください。
林 英利
JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)代表理事。大和ハウス工業(株)、トヨタ自動車(株)などを経て、プロコーチ・研修講師として独立。2015年より銀座コーチングスクール代表。国際コーチ連盟(ICF)日本支部 顧問