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リーダーシップ開発とビジネススキルの根底にあるもの
当ブログでは、組織内の研修・人材育成担当者の方、管理職やリーダーの方々に役立つ情報を発信しています。組織改革、管理職育成、リーダ研修、人材開発、リーダーシップ開発、ビジネスコミュニケーションなどのご参考になれば幸いです。JRLAの理事3名が執筆を担当しています(月:林、水:向川、金:大石)。
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リーダーシップ開発とビジネススキルの根底にあるもの
研修担当者の悩み
先日も、とある企業の研修企画責任者からリーダー育成の悩みを伺いました。
「当社は創業者が長くトップとして社員全員を引っ張ってきた会社。
創業者はとても情熱的な人で、まさにリーダーシップを発揮している人でした。
創業者が引退して、二代目になったのですが、その方が温厚な性格で。
引っ張るというよりは、社員の意見やアイディアを集め、
皆で決めていこうというスタンスなんですね。
リーダー不在となり、皆が、自分がやらねばという状態になっているんです。」
リーダーシップ=情熱的な人
ととらえているんですね。
このようにリーダーシップ=情熱的な人ととらえている方が少なくありません。
しかし、この企業も、情熱的なリーダーが抜けて、
社内の雰囲気はやや大人しくなったものの、
責任感の芽生えた社員が増えて、組織は今も活性化しているそうです。
組織活性化は主体性と協働関係によって成り立つ
かの松下幸之助さんでさえ、
「周知を集めた全員経営」に優る経営はない
とおっしゃっていました。
組織活性化のために、情熱のある人の存在は、影響力がありますが、
情熱がリーダーシップの必須要素ではありません。
一番大切なことは、
組織が活性化していること
そのために、
社員が主体性を持って取り組んでいること
そして、
経営陣も含めた社員間で相互作用(=協働関係)が働いていることなんですね。
この主体性と相互作用・協働関係を発揮してもらうために、
先週お伝えしたリーダーシップ開発とビジネススキル
があるとご理解ください。
リーダーシップ開発とビジネススキルに共通する素養
先週のPM理論では、
P行動(目標達成)に必要な具体的スキルとして、
・ビジョンを描く力
・伝える力(プレゼンテーション力)
M行動(集団維持)に必要な具体的スキルとして、
・1on1ミーティングの運営力
・コーチング
・ファシリテーション力
・チームビルディング力
・ネゴシエーション力(win-winの関係を築く力)
がある、とお伝えしました。
一見、P行動の具体的スキル
・ビジョンを描く力
・伝える力(プレゼンテーション力)
M行動(集団維持)に必要な具体的スキルとして、
・ネゴシエーション力
には「情熱」が必要と感じられますが、
決して表に出す情熱である必要はありません。
情熱は伝わってこないけど、中立的で誠実な方がその場をまとめて引っ張ってくれる
ということはよくある話です。
「情熱」以上に大事なこと。
それは、
皆の存在価値を受け止めてくれる「承認のスキル」
そして、
皆の話を心から聴いてくれる「傾聴のスキル」です。
これによって、社員一人ひとりが心置きなく発言できるようになります。
実は、上記7つのビジネススキルはすべて、
「承認のスキル」と「傾聴のスキル」
という素養・基本スキルがそなわって初めて
人・組織を動かせるビジネススキルになるんですね。
受け止める、心から聴く
という姿勢を全社に浸透させてください。
情熱的なリーダーシップが発揮されなくても、
協働関係の構築によって、組織が活性化されていきます。
向川 敏秀
JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表