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リーダーシップ開発とビジネススキルの根底にあるもの

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リーダーシップ開発とビジネススキルの根底にあるもの

🕙 2019-10-16 06:00 👤 向川 敏秀

研修担当者の悩み

先日も、とある企業の研修企画責任者からリーダー育成の悩みを伺いました。


「当社は創業者が長くトップとして社員全員を引っ張ってきた会社。

創業者はとても情熱的な人で、まさにリーダーシップを発揮している人でした。

創業者が引退して、二代目になったのですが、その方が温厚な性格で。

引っ張るというよりは、社員の意見やアイディアを集め、

皆で決めていこうというスタンスなんですね。

リーダー不在となり、皆が、自分がやらねばという状態になっているんです。」


リーダーシップ=情熱的な人


ととらえているんですね。

このようにリーダーシップ=情熱的な人ととらえている方が少なくありません。


しかし、この企業も、情熱的なリーダーが抜けて、

社内の雰囲気はやや大人しくなったものの、

責任感の芽生えた社員が増えて、組織は今も活性化しているそうです。

組織活性化は主体性と協働関係によって成り立つ

かの松下幸之助さんでさえ、

「周知を集めた全員経営」に優る経営はない

とおっしゃっていました。


組織活性化のために、情熱のある人の存在は、影響力がありますが、

情熱がリーダーシップの必須要素ではありません。


一番大切なことは、

組織が活性化していること

そのために、

社員が主体性を持って取り組んでいること

そして、

経営陣も含めた社員間で相互作用(=協働関係)が働いていることなんですね。


この主体性と相互作用・協働関係を発揮してもらうために、

先週お伝えしたリーダーシップ開発とビジネススキル

があるとご理解ください。

リーダーシップ開発とビジネススキルに共通する素養

先週のPM理論では、

P行動(目標達成)に必要な具体的スキルとして、

・ビジョンを描く力

・伝える力(プレゼンテーション力)


M行動(集団維持)に必要な具体的スキルとして、

・1on1ミーティングの運営力

・コーチング

・ファシリテーション力

・チームビルディング力

・ネゴシエーション力(win-winの関係を築く力)

がある、とお伝えしました。


一見、P行動の具体的スキル

・ビジョンを描く力

・伝える力(プレゼンテーション力)

M行動(集団維持)に必要な具体的スキルとして、

・ネゴシエーション力

には「情熱」が必要と感じられますが、

決して表に出す情熱である必要はありません。

情熱は伝わってこないけど、中立的で誠実な方がその場をまとめて引っ張ってくれる

ということはよくある話です。


「情熱」以上に大事なこと。

それは、

皆の存在価値を受け止めてくれる「承認のスキル」

そして、

皆の話を心から聴いてくれる「傾聴のスキル」です。

これによって、社員一人ひとりが心置きなく発言できるようになります。


実は、上記7つのビジネススキルはすべて、

「承認のスキル」と「傾聴のスキル」

という素養・基本スキルがそなわって初めて

人・組織を動かせるビジネススキルになるんですね。


受け止める、心から聴く

という姿勢を全社に浸透させてください。

情熱的なリーダーシップが発揮されなくても、

協働関係の構築によって、組織が活性化されていきます。

向川 敏秀

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表