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『孫子の兵法』にみるリーダーシップのあり方とは?

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『孫子の兵法』にみるリーダーシップのあり方とは?

🕙 2019-10-25 06:00 👤 大石 典史

ビジネスリーダーの中には、部下指導や人材育成のために、「図書の力を借りる」人がいると思います。

サラリーマン時代の私がそうでした。時間を見つけては、書店に足を運び、主にビジネス書籍を立ち読みしたり、購入したりしていました。


私自身、書店に足を運ぶという行為は、実は、昔も今もあまり変わっていません。元来、書店という空間が好きなことも影響しているかもしれませんね。

ただ、昔と今では“行き先”が変わりました。以前は、ビジネス書(リーダーシップや仕事術、自己啓発など)コーナーが主な行き先だったのですが、最近は、古典コーナーに向かうことが多くなりました(ここで言う「古典」とは、ど真ん中の「古典」ではなく、「古典をビジネスにどう活かすか」といったビジネスにおける指南書的なものを指します)。


古典をビジネスにどう活かすか?

古典コーナーには、『論語』、『老子』、『韓非子』、『孫子』など、あなたが一度は目にした、あるいは耳にしたことのある図書が数多くラインアップされています。その中でも、今日は、最近特に私が傾倒している『孫子』について触れてみたいと思います。


ここで『孫子』のことをご存知でない方のために、簡単に概要をお伝えしておきます。


『孫子』は今から2,500年程前、中国・春秋時代の武将・軍事思想家であった孫武(そんぶ)作による兵法書であり、一般的には「『孫子』の兵法」と呼ばれています。軍事的な思想・哲学、戦略・戦術を記したものではありますが、その内容が、「表記が端的、かつ、抽象化されている」、「政治的優位、かつ、合理的な考え方に根付いている」、「人間心理に対する深い洞察に基づいている」ことから、現代においても「座右の書」として掲げている経営者や指導者が多いとされています。


『孫子の兵法』にみるリーダーシップのあり方とは?

そんな『孫子』の中に、「リーダーシップのあり方」を端的に述べた一節が「地形篇」あります。


「卒を視ること嬰児(えいじ)の如し、故にこれと深谿(しんけい)に赴くべし。

卒を視ること愛子の如し、故にこれと惧(とも)に死すべし。」


[将軍が兵士を治めていくのに]兵士たちを赤ん坊のように見て[万事に気をつけていたわって]いくと、それによって兵士たちといっしょに深い谷底(危険な土地)にも行けるようになる。

兵士たちをかわいいわが子のように見て[深い愛情で接して]いくと、それによって兵士たちと生死をともにできるようになる。


特に前段の「卒を視ること嬰児(えいじ)の如し」は、『孫子』の中でも割と有名な一節なので、ご存知の方も多いかもしれませんね。


リーダーは部下に対してどのように接すればよいのか?

これは、リーダーは部下に対して赤ん坊のように接する(=思いやりを持って接する)ことで、彼らもそれにしっかり応えるようになるということ、そして、そこに信頼関係が生まれるということを言い表しています。


驚くべきことは、現代でも十分に通用するような金言を、約2,500年も前の兵法家が断言しているということです。裏を返せば、いつの時代になっても、「リーダーシップのあり方」というものは不変のものである、とも言えそうです。


もし、あなたが、部下指導や人材育成に行き詰まり、立ち止まっているようであれば、一度「古典に帰る」ことを実践してみても良いかもしれませんね。


大石 典史

東証一部上場企業2社を含む4社で法人営業、コンサルタント職、人事総務等を経験。現在は、銀座コーチングスクール(GCS)丸の内校代表、研修講師、パーソナルコーチを務める。国際コーチ連盟(ICF) 認定コーチ(ACC)。