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ビジョンを描くコツ
当ブログでは、組織内の研修・人材育成担当者の方、管理職やリーダーの方々に役立つ情報を発信しています。組織改革、管理職育成、リーダ研修、人材開発、リーダーシップ開発、ビジネスコミュニケーションなどのご参考になれば幸いです。JRLAの理事3名が執筆を担当しています(月:林、水:向川、金:大石)。
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ビジョンを描くコツ
現状を突くだけでは問題解決にならない
先日、某企業にて中堅社員を対象に、
業務改善をテーマにした企業研修を実施してきました。
業務改善というと、現在の業務における問題点を、
重箱の隅をつつくくらいに洗い出し、
あの手この手を使って、改善策を立案実行する
というイメージかと思いますが、
問題点を突いているだけでは、大きな変化は期待できないですね。
大事なことは、「あるべき状態」を描き、共有すること。
問題が生じている「現状」は共通認識としてありますが、
「あるべき状態」がバラバラ、もしくはイメージできていない状態で、
改善策を立案しても、無意味ということなんです。
しかし、この「あるべき状態」を描けないビジネスパーソンが意外と多いですね。
業務におけるあるべき状態が描けないビジネスパーソンが
組織の「あるべき状態」=ビジョンを描く
となると、並大抵のことではありません。
加算思考と逆算思考
ビジョンとは3~10年後、中長期において実現したい状態です。
~を強みに~な社会の実現に貢献したい
~を活かして~な組織を実現したい
ビジョンとは、このような定型文になりますが、
日頃から加算思考で物事を考えるビジネスパーソンは、
一足飛びに3年後、10年後の状態を想像できず、
フリーズしている人をよく見かけます。
一方で、将来のビジョンを描き、
その実現のために、邁進しているビジネスパーソンも多々見受けられます。
このような方々の思考の特徴は、逆算思考。
常にゴールを描き、そのゴールの実現に向かって、
一歩一歩小さな成功体験を着実に積んでいらっしゃいます。
だいたい、このような方々は独立起業家に多いですね。
学生ベンチャーを立ち上げる人などはその典型ともいえます。
加算思考の方々に、逆算思考になれ
と言っても、かなりハードルが高いために描けない人が多く、
私も以前は、ビジョン構築の指導に困っていたものでした。
しかし、加算思考の方々は、
常にひとつずつミッションをこなして進む堅実な方が多いので、
現在のミッションを実現したら、どのような状態になるか?
その状態が実現したら、次は何をミッションにするか?
次のミッションが実現したら、どのような状態になるのか?
この繰り返しで、3年後、5年後、10年後の組織の「あるべき状態(=ビジョン)」
を描けるようになりました。
多少遠回りにはなりますが、堅実な方々らしい発想方法なので、
実現性の高いビジョンが描かれ、まわりの納得感も得られやすいと感じています。
ビジョンは具体的に描く
まわりから納得感の得られやすいビジョンを描くためには、
出来るだけ具体的に描くことが必要です。
具体的に描くために、おススメしているのが、
5W1Hを使うことです。
When(いつ頃、いつから、いつまでに)
Who(誰が、何人が、どのような人たちが関わっているのか)
Where(彼ら彼女らはどのような空間を共有しているのか)
What,How(その場で、彼ら彼女らは何をどのように実現しているのか)
このように漠然としている抽象的な「あるべき状態」に関わる単語を
できるだけ具体的に描く
妄想と同様に思われますが、「あるべき状態」を導き出す中で、
根拠や仮説が組み立てられていきますので、
決して、非現実的な状態ではありません。
そして、最も大事なことは、
その時、彼ら彼女らがどのような感情を表現しているか
What a feeling
を言葉にすることです。
感情が入ると、より実現に向けて意欲がわき、
まわりの納得、共感が得られやすくなります。
Whyの代わりにWhat a feelingを入れて、
ぜひ5W1Hで具体的なビジョンを描いてください。
さらに、可能であれば、
ビジョンを言葉で説明するだけでなく、絵で表現してみましょう。
殴り書き、走り書きで良いのです。
決して絵心なんて要りません。
この殴り書き、走り書きが、プライドの高い人には抵抗がある様子ですが、
この殴り書きの上に、まわりの人も書き足すようになれば、
より関係性が深まり、実現性も高まることでしょう。
ビジョンを描く練習(トレーニング)、
小学生の絵日記のように続けていただければ、
かなり実現性が高くなることをお約束します。
向川 敏秀
JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表