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ビジョンを描くコツ

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ビジョンを描くコツ

🕙 2019-10-23 06:00 👤 向川 敏秀

現状を突くだけでは問題解決にならない

先日、某企業にて中堅社員を対象に、

業務改善をテーマにした企業研修を実施してきました。

業務改善というと、現在の業務における問題点を、

重箱の隅をつつくくらいに洗い出し、

あの手この手を使って、改善策を立案実行する

というイメージかと思いますが、

問題点を突いているだけでは、大きな変化は期待できないですね。


大事なことは、「あるべき状態」を描き、共有すること。


問題が生じている「現状」は共通認識としてありますが、

「あるべき状態」がバラバラ、もしくはイメージできていない状態で、

改善策を立案しても、無意味ということなんです。


しかし、この「あるべき状態」を描けないビジネスパーソンが意外と多いですね。

業務におけるあるべき状態が描けないビジネスパーソンが

組織の「あるべき状態」=ビジョンを描く

となると、並大抵のことではありません。


加算思考と逆算思考

ビジョンとは3~10年後、中長期において実現したい状態です。


~を強みに~な社会の実現に貢献したい

~を活かして~な組織を実現したい


ビジョンとは、このような定型文になりますが、

日頃から加算思考で物事を考えるビジネスパーソンは、

一足飛びに3年後、10年後の状態を想像できず、

フリーズしている人をよく見かけます。


一方で、将来のビジョンを描き、

その実現のために、邁進しているビジネスパーソンも多々見受けられます。

このような方々の思考の特徴は、逆算思考。


常にゴールを描き、そのゴールの実現に向かって、

一歩一歩小さな成功体験を着実に積んでいらっしゃいます。

だいたい、このような方々は独立起業家に多いですね。

学生ベンチャーを立ち上げる人などはその典型ともいえます。



加算思考の方々に、逆算思考になれ

と言っても、かなりハードルが高いために描けない人が多く、

私も以前は、ビジョン構築の指導に困っていたものでした。


しかし、加算思考の方々は、

常にひとつずつミッションをこなして進む堅実な方が多いので、

現在のミッションを実現したら、どのような状態になるか?

その状態が実現したら、次は何をミッションにするか?

次のミッションが実現したら、どのような状態になるのか?

この繰り返しで、3年後、5年後、10年後の組織の「あるべき状態(=ビジョン)」

を描けるようになりました。


多少遠回りにはなりますが、堅実な方々らしい発想方法なので、

実現性の高いビジョンが描かれ、まわりの納得感も得られやすいと感じています。


ビジョンは具体的に描く

まわりから納得感の得られやすいビジョンを描くためには、

出来るだけ具体的に描くことが必要です。


具体的に描くために、おススメしているのが、

5W1Hを使うことです。


When(いつ頃、いつから、いつまでに)

Who(誰が、何人が、どのような人たちが関わっているのか)

Where(彼ら彼女らはどのような空間を共有しているのか)

What,How(その場で、彼ら彼女らは何をどのように実現しているのか)


このように漠然としている抽象的な「あるべき状態」に関わる単語を

できるだけ具体的に描く

妄想と同様に思われますが、「あるべき状態」を導き出す中で、

根拠や仮説が組み立てられていきますので、

決して、非現実的な状態ではありません。


そして、最も大事なことは、

その時、彼ら彼女らがどのような感情を表現しているか

What a feeling

を言葉にすることです。


感情が入ると、より実現に向けて意欲がわき、

まわりの納得、共感が得られやすくなります。


Whyの代わりにWhat a feelingを入れて、

ぜひ5W1Hで具体的なビジョンを描いてください。



さらに、可能であれば、

ビジョンを言葉で説明するだけでなく、絵で表現してみましょう。


殴り書き、走り書きで良いのです。

決して絵心なんて要りません。


この殴り書き、走り書きが、プライドの高い人には抵抗がある様子ですが、

この殴り書きの上に、まわりの人も書き足すようになれば、

より関係性が深まり、実現性も高まることでしょう。


ビジョンを描く練習(トレーニング)、

小学生の絵日記のように続けていただければ、

かなり実現性が高くなることをお約束します。

向川 敏秀

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表