当ブログでは、組織内の研修・人材育成担当者の方、管理職やリーダーの方々に役立つ情報を発信しています。組織改革、管理職育成、リーダ研修、人材開発、リーダーシップ開発、ビジネスコミュニケーションなどのご参考になれば幸いです。JRLAの理事3名が執筆を担当しています(月:林、水:向川、金:大石)。
各記事の読了時間:約2分
日頃、リーダークラスの方々とお話をしていると
よく耳にする言葉に「説得」があります。
メンバーの価値観の多様化が提唱されて久しいのですが、
その多様化に対応して、方向性を統一していくために、
リーダーはメンバーを説得しなければいけない
皆さんもこのように「説得」という言葉を使っていませんか?
「説得する」という行為には、
リーダーの苦労や熱意、工夫などが感じられますが、
「説得される」という言葉には、
どのような印象を抱くでしょうか?
メンバーはリーダーに説得されて方針に従う
ここには、メンバーの主体性が犠牲にされている感があります。
心理的にも「それじゃ、やるか」というような「受け身」の姿勢が感じられます。
これでは、メンバーが100の力をすべて出し切れる気がしません。
これがひと昔前の時代であれば、
組織のヒエラルキーの中で、
トップダウン型の指示命令系統が確立されており、
上司から「やってくれ!」と説得されたことには、
忠誠心を持って従えたことでしょう。
しかし、先にも申したとおり、現在は価値観の多様化の時代。
忠誠心よりも、まずは自分有りきです。
一方、納得して仕事に取り組むという姿勢にはどのような印象を持ちますか?
納得したので、心からその方針に賛同して取り組める
100%自分の力を出し切る意欲が沸く
こういったポジティブなイメージが持てると思います。
人は説得されるより、納得した方が
高いパフォーマンスを発揮できる
ということは想像に難くないでしょう。
意外と多くの方は、「説得する」という言葉を使いながら、
そのまま「納得してもらう」と言い換えても、
違和感が無いような言動をとられています。
実践している言動は、修正の必要な無いかもしれませんが、
スタートとして、
説得してから始まるのか、
納得してもらってから始まるのか、
どちらがメンバーを巻き込みやすく、実力をフルに発揮してもらえるか
と考えてみてください。
おのずと、言葉遣いが「説得」から「納得」に変わっていくことでしょう。
とはいっても、現在、力づくで、納得させてから、
メンバーにミッションを負わせているリーダーの方々には、
どうやって、説得ではなく、納得してもらうのか?
という疑問が残るでしょう。
ここで、簡単な納得を得るためのステップをお伝えします。
大原則として、上下関係ではなく、協働関係の場づくり。
メンバーが何でも言える環境を作ってください。
その上で、議論のステップは、
拡散⇒収束⇒比較検討⇒合意形成
の4STEPです。
拡散
ルールは、ブレインストーミング
ブレインストーミングの基本ルール
・他人の発言を批判しない
・自由奔放な発言を歓迎する
・発言の質より量を求める
・他人の発言に便乗する
メンバーにも率直な発言をしていただき、
自分の発言が受け入れられたという実感を作ることが大切です。
収束
あふれる量の発言が出た後、グルーピングしていきます。
このグルーピングもリーダーが仕切るのではなく、
メンバーにも積極参加していただき、グルーピングしていきましょう。
比較検討
ここが重要です。
私はA案が良い、僕はB案が良い
という対立の構造をつくらずに、
皆で各案のメリット/デメリットを出し合い、
それぞれの案を比較検討します。
客観的に自分の案についても、良い点悪い点、
対立する案に関しても、良い点悪い点を出すことになるので、
冷静に比較評価できるようになります。
合意形成
その上で、どの案が良いのか、皆で合意形成しましょう。
大切なことは、判断軸を決めること。
合意形成するにあたり、何を基準に判断すべきなのか。
判断軸は複数でも構いません。
判断軸が決まれば、それに沿って皆で意思決定することになるので、
たとえ自分の案が却下されても、「納得」がいきます。
メンバーの納得感の作り方、
ぜひ実践して、メンバーに納得して心から取り組んでもらってください。
向川 敏秀
JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表