JRLA Staff Blog

組織変革の進め方

当ブログでは、組織内の研修・人材育成担当者の方、管理職やリーダーの方々に役立つ情報を発信しています。組織改革、管理職育成、リーダ研修、人材開発、リーダーシップ開発、ビジネスコミュニケーションなどのご参考になれば幸いです。JRLAの理事3名が執筆を担当しています(月:林、水:向川、金:大石)。

各記事の読了時間:約2分

組織変革の進め方

🕙 2019-11-18 06:00 👤 林 英利

悩めるリーダーシップ開発担当者

日々、人事部などの人材育成担当者と話をしていると、「うちの会社は古い体質が残っていまして…。どうにか、管理職や経営幹部に意識を変えてもらいたい」との声が聞こえてきます。

しかし、「具体的にどのように進めたら良いのか」と悩まれている方も多いようですので、今回は、組織変革の進め方をご紹介したいと思います。


組織変革を阻む「つまずきの石」

1980年代以降、アメリカの企業は、事業再編や社風改革などの大規模な変革に取り組みました。しかし、その中には多くの失敗もありました。

ハーバード・ビジネス・スクールのジョン・コッター名誉教授は、その事例を分析し、変革が進まないのは、以下の8つの「つまずきの石」が原因であると述べました。


◆8つの「つまづきの石」

  • 内向きな企業文化
  • 官僚主義
  • 社内派閥
  • 相互の信頼感の欠如
  • 不活発なチームワーク
  • 社内外に対しての傲慢な態度
  • 中間管理層のリーダーシップの欠如
  • 不確実に対する恐れ


コッターは、これらのつまずきの石を乗り越え、変革を推進するためには、以下の8段階のプロセスが有効であると主張しました。


組織変革の進め方​​​​​​​


◆コッターの「変革の8段階」

  1. 危機意識を高める
  2. 変革推進チームをつくる
  3. 適切なビジョンを掲げる
  4. ビジョンを周知徹底する
  5. 自発的な行動を促す
  6. 短期的な成果を実現する
  7. さらに変革を進める
  8. 変革を根づかせる


これらの段階を簡単に解説すると、次のようになります。


危機意識を高める

現状起きている問題や、今後起こり得る問題などを提起し、変革に携わる関係者との間に「危機意識」を生み出し、共有します。


変革推進チームをつくる

変革を推進していくための十分な能力とやる気を備えたメンバーを集めます。これらのメンバーには、変革に必要なスキルや人脈、信頼や権限などがあることが理想です。


変革のためのビジョンと戦略を掲げる

変革に導くためのビジョンを策定し、ビジョンを実現させるための戦略を考えます。ちなみに、ビジョンとは、「将来のあるべき姿を示すもので、なぜ人材がそのような将来を築くことに努力すべきなのかを明確に、あるいは暗示的に説明したもの」とコッターは定義しています。


ビジョンを周知徹底する

あらゆる手段を通じて、策定したビジョンや戦略を従業員や関係者と共有します。認知するだけではなく、共感してもらうことが大切です。また、変革推進メンバーが、他の従業員のロールモデルとなる行動をとることも重要です。


従業員の自発的な行動を促す

ビジョンを共有し、自発的に行動しようとする従業員を支援します。また、それらの行動の障壁がある場合は、取り除いたりルールやシステムを変更したりすることも推進します。従業員の意欲を低下させず、行動を継続できるよう支援します。


短期的な成果を実現する

ビジョンには中間ゴールを設け、その達成度合いを共有します。目に見える変化は、取り組むメンバーや従業員の意欲を持続させることに役立ちます。また、成果に貢献した人々に対する表彰や報酬を与える場合もあります。


さらに変革を進める

短期的な成果を踏まえ、変革を進めます。変革に不向きなルールやシステムは改廃を行います。また、変革の推進に貢献するメンバーを新たに追加したり能力開発を行い、変革を持続させます。


変革を根づかせる

変革の成果と組織の成功の関係性を明示し、経営者や各階層のリーダーは変革を根付かせる活動を行います。管理職候補や次世代リーダーの育成を行い、変革を企業文化として定着させます。


まとめ

コッターはこの8段階について、順番を守ることが重要で、途中の段階を飛ばしてはいけないと強調しています。

変革プロジェクトの計画や推進には、長い時間がかかることとなりますが、まずは危機感を共有する仲間をつくることから始めてみると良いと思います。



[参考] 【新版】グロービズ MBAリーダーシップ/ダイアモンド社


林 英利

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)代表理事。大和ハウス工業(株)、トヨタ自動車(株)などを経て、プロコーチ・研修講師として独立。2015年より銀座コーチングスクール代表。国際コーチ連盟(ICF)日本支部 顧問