JRLA Staff Blog
組織の進化とリーダーに必要なビジネススキル
当ブログでは、組織内の研修・人材育成担当者の方、管理職やリーダーの方々に役立つ情報を発信しています。組織改革、管理職育成、リーダ研修、人材開発、リーダーシップ開発、ビジネスコミュニケーションなどのご参考になれば幸いです。JRLAの理事3名が執筆を担当しています(月:林、水:向川、金:大石)。
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組織の進化とリーダーに必要なビジネススキル
前回まで、リーダーが取るべき行動として、目標達成行動と集団維持行動、
その行動を支えるマインドとして、リーダーはポジティブであれ、大切なことは承認と傾聴、とお話してきました。
これらは、リーダーシップのベースであり、終始心得ておくことですが、リーダーが置かれている組織は常に変化をしています。その変化に適切に対応してリーダーシップを発揮していかなければなりません。
組織の変化・進化を語る上でベースとなるフレームワークが心理学者のタックマンが唱えたタックマンモデルです。
タックマンモデルとは、組織は
「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」
という4つの成長段階を経て成果が出せる状態になると示しています。
この段階の中で、特にリーダーシップを発揮すべき3つのプロセスと、
リーダーシップの発揮に必要なビジネススキルについて解説していきます。
形成期では、組織の方向性を示すプレゼンテーション力
形成期
形成期とは、新組織・プロジェクトチームが結成されたばかりの状態です。
また、新年度を迎えた組織も当てはめて理解してください。
新組織・プロジェクトチームが結成されたばかりの状態、
または新年度を迎えて、新たな方針と目標のもと、スタート切らなければいけない状態。
このような状態では、新組織の方針や、新年度の方針と目標に対して、
互いに本音を出さずに様子見をしている段階です。
このような状態に、リーダーシップは必要です。
チームメンバー全員が同じ価値観をもち、
ゴールを達成する方法やそのためどのように共同作業を進めていくか
というイメージを持たせていかなければなりません。
リーダーシップには、ビジョン構築力と
スタートダッシュを働き掛けるプレゼンテーション力が求められます。
混乱期から統一期に導くファシリテーション力とネゴシエーション力
混乱期
新年度を迎えて1,2ヵ月も経てば、方針と目標に対して総論賛成であったメンバーも各論において、個々の主張が出始めてくることでしょう。
新組織・プロジェクトチームであれば、お互いの気心が知れてくる反面、個々の考え方、やり方、ポリシーの違いが浮かびあがり、衝突が起きてきます。
この混乱期を脱することができずに、延々とメンバー間の衝突やメンバーの不満が続いてしまう組織も少なくないことでしょう。
混乱期はすべての組織が必ず通るものです。
混乱期は必ず来るものだということを理解していれば、
それなりの対処に取り組むようになり、乗り越えることができます。
この混乱期から次の統一期に導くために、リーダーには統率力が必要です。
具体的には、メンバー間の合意形成と相互作用を促すファシリテーション力、
場合によっては、メンバー間にwin-winの関係を築くためのネゴシエーション力が求められます。
またこのチームで仕事をしたい!という達成感をつくるために
統一期
混乱期を乗り越え、組織内に共通のルールや役割が出来上がっている状態です。
個人の思考や行動の特性を理解しあい、自身の役回りを認識してどのように動くべきかに気づくことで、メンバー間に合意形成が生まれ、相互作用が働いてきます。
しかし、統一期で満足してはいけない、
というのがタックマンモデルの肝ととらえるべきでしょう。
1+1=2で満足しない
メンバー間に相乗効果が生まれることにより、
1+1を3にすることもできる。
それが機能期である、とタックマンモデルを解釈すべきです。
機能期
組織が単なる集団ではなく、メンバー個々の持ち味が生かされ、メンバー間に相乗効果が働くことにより、より高い成果が生まれる状態です。
決して難しいことではありません。
組織内に小さな中間目標設定を細かく刻み、その都度、達成感をメンバー全員で共有することにより、成功体験が積み重なっていく状態です。
このような状態に入れば、リーダーから言われなくてもメンバーが主体的に動きます。
統一期ではリーダーによって規律やルールが提示されましたが、
機能期ではチーム自ら規律を生み出します。
そして、ゴールに到達した時点で、おそらく多くのメンバーは、
「またこのメンバーと仕事がしたい」
「またこのチームで仕事がしたい」
「またこのリーダーのもとで仕事がしたい」
という達成感を得ることでしょう。
この機能期に導くために、リーダーには
メンバー個々の主体性を引き出すコーチング力、
組織全体の活性化を促すグループコーチング力、
この2つのスキルが必要になります。
以上、組織の進化にそって、
■形成期 プレゼンテーション力
■混乱期~統一期 ファシリテーション力、ネゴシエーション力
■統一期~機能期 グループコーチング力
リーダーシップ発揮に必要なビジネススキルを列挙してきましたが、
次回以降は各ビジネススキルのポイントを具体的にご紹介していきます。
向川 敏秀
JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表