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推薦図書紹介「1万人のリーダーが悩んでいること」

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推薦図書紹介「1万人のリーダーが悩んでいること」

🕙 2019-12-23 06:00 👤 林 英利

当協会顧問の浅井浩一氏の新書が、この度ダイアモンド社から出版されました。当書籍には、リーダーが抱える様々な悩みと、それに対する浅井氏からの「答え」が書かれています。

悩める多くのリーダーに読んでいいただきたい一冊ですので、以下に当書籍の一部についてご紹介いたします。


これからのリーダーがすべき5つのこと

浅井氏は、当書籍の中で、リーダーは「業績」という言葉の定義を広げる必要がある。これからのリーダーに求められる「業績」とは、「部下を辞めさせず、病ませず、やりがいを持って共に働き、目標を達成し続けること」と述べています。

会社や上司から求められる「数字」だけではなく、そのプロセスの中で、部下たちの心身の健康や、やりがいまでを引き出せるリーダーになることが大事だと説きます。

そして、自らの体験を踏まえ、これからのリーダーがすべきこととして、以下の5つのポイントについて解説します。


<これからのリーダーがすべき5つのこと>

①部下を見守る

部下を「業績を上げるための道具」と見るのではなく、ともに働く「仲間」として、ひとりの人間として、誠実な関心を持ち、成長を支援できているか

②自身を磨く

部下に頼り、甘えるだけではなく、リーダーとして、日々の仕事に打ち込み、汗をかき、努力・成長しているか

③チームをつくる

「結果を出せばいい」とばかりに、みなが思い思いに仕事をするのではなく、相手を思い、助け合えるチームになっているか

④結果を出す

結果に一喜一憂するのではなく、結果につながる行動(プロセス)を正しく認識し、実行できているか

⑤組織を変える

「どうせうちの会社はダメだ」と諦めるのではなく、知恵を絞り、周囲を巻き込み、会社に堂々と働きかけているか


本編の一部を紹介

本編では、1万人を超えるリーダーたちから寄せられた悩みの中から50を厳選し、ひとつひとつの悩みに対し、浅井氏の考え答えが示されています。

その中から、ある一つを以下にご紹介したいと思います。


第1章 部下を見守る

(10)

若手のモチベーションアップについてお聞きしたいです。彼らが何を考えているのかわかりません。どうすれば彼らの気分を乗せられるのでしょうか?

(前略)

電機メーカーに勤めている、部下のやる気を引き出すのが上手な課長が、こんなことを言っていました。

「もしも私が与えたヒントで部下が新しいアイデアを思いついても、あたかもゼロから彼が思いついたかのように振る舞っています。『いいアイデアじゃないか。素晴らしい。そのアイデアを実行に移すにはどうしたらいいか教えてくれないか』と問えば、彼は喜んで、どう実現させるかを考え始めます。人は自分が思いついたことには、誰かに指図されたこと以上に一生懸命になれるんですよね」

まさにこれが、若手のモチベーションアップにおけるコツです。上司が部下にヒントを与える。そのうち3%でも部下が手を加えたら、それを「部下が生んだアイデア」として振る舞うのです。すると部下は「自分で考えたことだから、実現に向けてがんばろう」というモチベーションを持って働きます。


上司は「きっかけ」を与えるだけでいい

ある飲料自動販売機の販売会社では、若手営業マンが悩んでいました。自社の自動販売機を設置してもらおうと個人店の店主のもとを50回以上訪れ、商談しているのですが、設置してもらえない状態が続いていたのです。

その店主はいわゆる「頑固おやじ」。いくら提案しても「機械に頼ってまで商売をする気はない」の一点張り。ついに営業マンは、営業所長になきつきました。同行を頼み、改めて店主を訪ねたのです。営業マンはまた提案しますが、店主はとりつく島もなく「帰ってくれ」と突き放します。

そこで営業署長が切り出しました。「店主さん、この自動販売機は『機械』ではありません。お店がシャッターを下ろした後でも大切なお客様に対応してくれる『店主さんの分身』なんです」

店主が黙りました。営業マンが続けます。「そう、『分身』なんです。私たちも雨上がりの朝には、『寒かったか? がんばってくれてありがとうな』と声をかけながら拭いているんですよ」

「そうか、自分の代わりに大切なお客様のために働いてくれる俺の分身か」

そう言った後、店主は私たちを見る目つきが、穏やかなものに変わりました。そこからはトントン拍子。その日のうちに設置の契約にこぎ着けました。

帰りの車中、所長は営業マンをねぎらいます。「あの、雨上がりのあさに自動販売機を拭きながら声をかける話はよかったな。あの話で店主の反応がガラッと変わったよ」

営業マンはびっくりして返します。「いやっ、だってあの話は、所長が切り出した物じゃないですか。ぼくは乗っかっただけですよ」

「そうかな。でも店主が穏やかな目つきに変わったのは、確実に君が話していたときだよ。君の熱意が通じたんだ。」営業マンは、これまでに通い続けた3年の月日を思い、涙しました。

部下のやる気を引き出す「きっかけ」づくりの名人を目指してください。あなたのひと言で、「自分が成し遂げた仕事だ」を思わせてあげましょう。


まとめ

当書籍の最後には、浅井氏からの「ひとりで抱え込まないでください」とのメッセージで締め括られます。

ひとりで生きられる人はいない。「助け合い」こそが我々人類が生き延びてきた秘訣だと。誰かに真剣に「相談に乗って欲しい」と頼むことをしてみましょうと。

当書籍には、離職率を抑え、メンタルを病む人をゼロにし、尚且つ目標を継続的に達成し続ける組織をつくるための秘訣や、「ひとりでがんばらなくて良いのだ」という浅井氏からリーダーへのメッセージが込められています。

林 英利

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)代表理事。大和ハウス工業(株)、トヨタ自動車(株)などを経て、プロコーチ・研修講師として独立。2015年より銀座コーチングスクール代表。国際コーチ連盟(ICF)日本支部 顧問