当ブログでは、組織内の研修・人材育成担当者の方、管理職やリーダーの方々に役立つ情報を発信しています。組織改革、管理職育成、リーダ研修、人材開発、リーダーシップ開発、ビジネスコミュニケーションなどのご参考になれば幸いです。JRLAの理事3名が執筆を担当しています(月:林、水:向川、金:大石)。
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あなたは「ゴールデン・サークル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、マーケティングコンサルタントであるサイモン・シネック氏が、2009年に『TED Talks』でプレゼンした「優れたリーダーはどうやって行動を促すのか」の中で提唱した理論です。
人を操作するのではなく、人を感動させてやる気を起こさせるリーダーは、まったく同じ方法で行動し、コミュニケーションを取っており、その方法は私たちが取っているそれとは真逆であると言っています。
サイモン・シネック氏が提唱した「ゴールデン・サークル」は、円の中心から始まり、すべてが“WHY”から始まるとしています。円の中心には“WHY”があり、そこから円の外側に向かって“HOW”→“WHAT”へと続きます。
これらの単語の意味をあらためて確認してみます(今回のテーマに合わせ意訳をしています)。
■WHAT:
組織のリーダーは、自分の行動(WHAT)について明確に分かっています。
■HOW:
ある程度の組織のリーダーは、他とは異なる方法、より良い方法(HOW)を理解しています。
■WHY:
自分が今行っていることの理由(WHY)を明言できる組織やリーダーはそんなにはいません。
氏は、多くの組織やリーダーが、円の外側から内側に向かう順番で、つまり“WHAT”→“HOW”→“WHY”の順番で考え、行動し、コミュニケーションを図っていると言い、一方で、傑出した組織やリーダーは、円の内側から外側へと向かう順番で考え、行動し、コミュニケーションを図っていると言います。
氏はここで、世界的なコンピューター企業であるアップル社のマーケティングメッセージを例にとってこのことを説明しています。
●一般的な企業の場合
私たちは、素晴らしいコンピューターをつくっています。(WHAT)
美しいデザイン、シンプルな操作方法、取り扱いも簡単。(HOW)
一台、いかがですか?
●アップル社の場合
現状に挑戦し、他者とは異なる考え方をする、それが私たちの信条です。(WHY)
製品を美しくデザインし、操作方法をシンプルにし、取り扱いを簡単にすることで、私たちは現状に挑戦しています。(HOW)
その結果、素晴らしいコンピューターが誕生しました。(WHAT)
一台、いかがですか?
例えば、あなたが組織のリーダーであれば、「ゴールデン・サークル」を活用して、チームや部下にどのような言葉をかけるのでしょうか。
●組織のリーダーの場合(例)
チームが過去最高の売上を達成するためには、何よりもメンバー同士の関係性を大切にしたいと考えている。(WHY)
相手をひとりの人間として認め、話を聴き、そして、助け合うことが望まれる。(HOW)
その結果、協働体制が図られることで、個々の行動レベルが上がることを期待している。(WHAT)
いかがでしょうか?
あなたが組織のリーダーであり、普段「部下がついてこない」と感じているのであれば、一度「ゴールデン・サークル」を活用した伝え方を検討してみても良いかもしれませんね。
大石 典史
東証一部上場企業2社を含む4社で法人営業、コンサルタント職、人事総務等を経験。現在は、銀座コーチングスクール(GCS)丸の内校代表、研修講師、パーソナルコーチを務める。国際コーチ連盟(ICF) 認定コーチ(ACC)。