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不穏分子の対処法【チームビルディング】

不穏分子の対処法【チームビルディング】

🕙 2020-02-26 06:00 👤 向川 敏秀

組織内にいる不穏分子の対処法として1on1やコーチングでは困難です

不穏分子のまわりを変える場づくりから着手しましょう

リーダーシップを発揮する社員が次々と生まれるチームビルディングが効果的です

組織の中には、一人や二人、不穏分子がいます。

不穏分子とは、ある社会・集団内で、治安や秩序を乱す行動を企てる人。(大辞泉)

全員で一つの目標に向かって協力して進もう!

と働き掛けているものの、協調性が無い、自分勝手に行動する社員、

意見やアイディアを求めているのに、決まったことに従うだけ、

給料さえもらえれば良いという考え方の社員、

1on1ミーティングを実施しても、

「近い将来実現したいこと」、特にありません。

と胸の内を明かそうとしない、または考えていない社員、など。

コーチングを学びに来る管理職の方々の中で、

こういった不穏分子の対処法として、

コーチングに期待している方も少なくありません。

しかし、私の経験値で言うと、

不穏分子の対処法は1on1やコーチングだけでは無理です。

組織の中のメンバーを、

「良い子」「悪い子」「普通の子」に置き換えて考えてみましょう。

悪い子の変化を促すには、上司との1on1だけではなく、

良い子や普通の子からの刺激も必要です。

まわりの環境が変わっていくことによって、

「自分にも変化が必要なのかな?」

「自分も何かやらないといけないのかな?」

といったことを考えてくれるようになります。

実はこれはチームビルディングの考え方です。

メンバー一人ひとりの強みや長所を最大限に活かし、

次々に、リーダーシップを発揮してくれるメンバーを引き出し、

メンバー間のコミュニケーションによって、

相乗効果を高めていく組織の在り方です。

学園ドラマで、孤軍奮闘していた教師の影響で、

クラスの中から一人、またひとりとリーダーシップを発揮してくれる生徒が生まれ、

彼らの働きかけによって、クラスの問題児も一念発起してくれる

あのイメージですね。

1on1ミーティングは、「良い子」「悪い子」「普通の子」皆に平等に実施しますが、不穏分子の対処法として大事なことは、

「良い子」「普通の子」に小さな成功体験を積ませて、自信を持たせ、巻き込むこと。

今回は、1on1でメンバーのリーダーシップを発揮してもらう3ステップについて解説します。

1.小さな成功体験を積み重ねてもらう

「悪い子」とは1on1が継続的に、建設的に進む可能性は低いですが、

「良い子」「普通の子」との1on1は小さな成功体験を積み重ねてもらうことに注力して、

継続的に進めてください。

小さな成功体験をした時には、ちゃんと称賛しましょう。

人は承認欲求のかたまりです。

承認欲求を満たすことで、自信が持てるようになり、

さらに上を、そして自分だけではなく、まわりも見ることができるようになります。

そして、小さな成功体験を積み重ね、共有することで、

信頼関係も確実に深まっていきます。

2.【自己開示】不穏分子の相談をする

小組織やプロジェクトチームなどにおいて、「悪い子」と関わりのある

「良い子」「普通の子」の成長がある程度見られたら、

1on1実施後に上司からひとつ相談してみましょう。

「今日の1on1はこれで終了だけど、あと5分くらい話を聞いてもらっても良いかな?」

承諾を得られたら、自己開示してください。

「実は、(悪い子)君に対して、どう接したら良いか分からなくて困っているんだよ」

メンターとメンティ―の立場が入れ替わった格好になります。

聴いてもらうことが目的、答えはいらない

1on1で使用する3つのコミュニケーションスキルの中のカウンセリングですね。

さらに、「良い子」や「普通の子」から

何らかの情報が得られたり、少し気にかけてみますよ

といった協力の姿勢が見られたら、御の字です。

継続的に話し合える相手を少しずつ増やしていきましょう。

ここで最も大切なことは、自己開示。

自分の短所や弱みを含めて、部下に話すことができるようになってください。

3.任せる

「悪い子」と関わりのある「良い子」「普通の子」も、

継続して「悪い子」のことを気に掛けるようになり、

対処法について、2人の中からアイディアや意見が出てくるようになります。

「良い子」や「普通の子」から出てきた自発的行動案は、

否定や指摘をすることなく、行動を促してください。

行動を起こすことに不安を抱えているようであれば、

勇気づけしましょう。

大切なことは「任せる」ということ。

任せられることによって、人はリーダーシップが芽生えてきます。

「任せる」とは、丸投げすることではありません。

口は出さない、必要に応じてサポートする

が大事。

もちろん、上司であるあなたも、気づきから得た自発的行動案は、

積極的に実行しましょう。

ロールモデルとなれるように。

こういったことを継続することにより、

「悪い子」のまわりには、働きかけをしてくれる「良い子」「普通の子」が現れ、「悪い子」にも気づきが生まれてきます。

組織の不穏分子(=悪い子)の対処法が、

組織内に次々とリーダーシップを生み出すきっかけにもなりますので、

ぜひご活用ください。

向川 敏秀

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表