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SDGsを理解してビジョンを描こう

SDGsを理解してビジョンを描こう

🕙 2020-03-04 06:00 👤 向川 敏秀

「10年後なんて分からない」とビジョン構築を放棄していたリーダーの皆様へ。SDGsを読み込んで、ポジティブ、かつ具体的なビジョンを描くリーダーが増えています。

ビジョンを描く事業部が増えてきた

リーダーには「組織メンバーの心をひとつにする働きかけ」として、

ビジョンを描くことが求められます。

ビジョンとは企業理念に基づき、

事業遂行によって実現したい5年後10年後の「あるべき状態」を示しますが、

以前は、

「5年後、10年後の社会なんて分かるわけが無い」

という消極的なリーダーが多く、

ビジョンを描いていただくことに悪戦苦闘した経験が多々あります。

しかし、私なりに昨年から、ビジョン構築の際に、

SDGsを取り入れるようになりました。

そのおかげで、ポジティブな、かつ具体的なビジョンを描けるリーダーが増えてきた

と感じています。

そこで今回は、SDGsを理解した上でビジョンを描くためのポイントを

3点お伝えしてまいります。

SDGsは「169のターゲット」まで読み込む

SDGsというと、

「環境保全」や「エコ」ととらえているリーダーが多いですね。

「環境保全活動はしていますよ」

「エコに取り組んでいますよ」

「リサイクル活動に取り組んでいますよ」

のように、10年前と変わらない回答が返ってきたりします。

一方では、

「当社はサービス業なので、エコとは直接関係ありません」

なんて、無関係を装うリーダーも。

ぜひ、皆さんSDGsを正しく理解してください。

SDGsとは「持続可能な開発目標」と訳されますが、

2015年9月に国連で開かれたサミットの中で

世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です。

SDGsには、

“2030年までに達成すべき17の目標”

が掲げられています。

17の目標のキーワードを抜き出すと、以下のとおり。

「貧困を無くす」「飢餓を無くす」「健康と福祉の促進」

「生涯教育の促進」「男女平等」「水と衛生の管理」

「安価で信頼できるエネルギー」「雇用促進」

「インフラとイノベーションの促進」「不平等是正」

「まちづくり」「生産・消費形態の促進」「気候変動対策」

「海洋資源の確保」「緑の確保」「国際平和」

「官学民の国際協調」

ご覧のとおり、環境保全やリサイクルにとどまらず、

健康・福祉、教育、雇用促進、インフラなど幅広い分野にわたり、

目標を設定しています。

中には、国際平和や気候変動などグローバルなテーマもありますが、

そんな大それたことと思わずに、

ぜひ各目標に紐づいている「169のターゲット(具体目標)」まで着目してください。

169のターゲットの詳細はこちら

169のターゲットまで見ると、

業界を問わず、すべての産業に共通する目標が見えてきます。

これらの目標を踏まえて、

2030年にはどのような社会になって欲しいか?

を描いていただきたいのです。

ビジョンは皆で描くもの

このビジョン構築ですが、トップがビジョンを描き、

それをメンバーと共有する、というステップは、

現代の価値の多様化の時代ではナンセンスと感じています。

私自身、様々なプロジェクトや事業計画策定を通して、

ビジョンは与えられるものではなく、個々自らが描くもの。

と強く感じています。

そこで、事業ビジョンをFIXさせる前に、

方向性として3案くらいを組織メンバーと共有することから始めてはいかがでしょうか?

「方向性としてこんなことを考えています。」

「今後、これらを検討するにあたり、皆さんのビジョンも聴かせてください」

といった感じで、各小組織体や個人のビジョンも描いてもらう。

それらを踏襲したかたちで、事業ビジョンを最終決定する。

というプロセスが良いと思います。

要は、ビジョン構築に関わったという経験を持たせて、

当事者意識を促すこと。それにより、事業ビジョンの浸透も容易になってきます。

ビジョンを描く上での留意点

1点だけSDGsをもとにビジョンを描く上での留意点をお伝えしておきます。それは、メリットとデメリットの両面からビジョンを描くことです。

たとえば、再生可能エネルギーに注力していこうということで、

7.a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。

を選択したとします。

しかし、再生可能エネルギーの裏には、自然破壊のリスクがあります。

したがって、7.aの目標とともに、

15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。

もビジョン構築において検討しなければならないということです。

産業の発展には、プラスの影響とマイナスの影響が付きものでした。

この両面からビジョンを描くために、169のターゲットの中から、

複数選んでビジョンを描くことに取り組んでください。

向川 敏秀

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)専務理事。積水ハウス、松下電器産業グループなどを経て、経営コンサルタント、研修講師として独立。/銀座コーチングスクール銀座一丁目校代表