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書籍紹介「アメリカ海軍に学ぶ『最強のチーム』のつくり方」

書籍紹介「アメリカ海軍に学ぶ『最強のチーム』のつくり方」

🕙 2020-04-08 06:00 👤 林 英利

今回は、機能不全に陥っていた軍艦ベンフォルドの艦長として、同艦を”海軍No.1”と呼ばれるまでに大変革させた、元アメリカ軍大佐の著書をご紹介します。


「やる気」を巧みに引き出す法

[ 要約 ]

私がリーダーシップについて本格的に学び始めたのは、ワシントンで国防長官の仕事ぶりを目の当たりにした時からだった。長官は国内外から広く愛され称賛されていたが、その理由は、礼儀をわきまえ子供のようにひたむきな関心をもって聞く姿勢にあった。


その後、私がベンフォルド(アメリカ軍の駆逐艦)の艦長になったとき、「艦にいるすべての人間とのすべての出会いを、いちばん大事なものとして扱おう」と誓った。私はまず、艦にいる全員(310名)の名前を1ヶ月で覚え、1日に5人の部下と1対1の面談を行い、みなへの期待を直接伝えようと決めた。


面談では、出身地などの基本的なことや子供の名前などを聞くことから始め、職場のことや彼らの目標、海軍に入った理由なども聞いた。部下の多くが、豊かさとは無縁の環境に生まれていたが、全員が自分の人生を何か意義のあるものにしようと努めていた。彼らは尊敬と称賛を受けるに値する者たちなのだ。


面談の結果、私は部下たちをとても尊敬するようになり、彼らの最強の”応援団長”になろうと思った。彼らは、「自分たちが本当に歓迎されているのだ」と知ったとたん、彼らも変わった。進んで私の部屋を訪ね、さまざまな提案をしてくれるようになったのだ。


部下の能力とやる気を引き出し、組織を高い結果へと導くことができるリーダーの共通点の一つが、「聴く力」ではないでしょうか。その聴き方には差別がなく、どのような相手であっても、分け隔てなく同じように聴く。その結果、返報性の原理が働き、話をじっくりと聴いてもらった人は、聴いてくれた人に好感を抱き、今度は自分が相手に貢献したいと思うようになる。組織の中においても、「大切にされている」と感じられる関係性を築くことが大切です。


チームで「負け組」を出さない!

[ 要約 ]

ベンフォルドを引き継いだとき、4人の部門長が、高い地位を得ようと競っていた。その座を争う敵対関係はシステムの中にくい込み、全体の雰囲気を悪くしてしまう。職場にこのような状況が生まれると、部下の中に派閥を生み出し、お互いに対する信頼を損ない、組織力を低下させてしまう。


私はその4人の部門長に、「それぞれの海軍での未来がひらけるかどうかは、ベンフォルド全体の成功にかかっている。全員が協力してベンフォルドを海軍で最も優秀な艦にしたら、全員に大きなチャンスがあるだろう。」と伝えた。彼らが納得し、協力体制をつくったことで、ベンフォルドはさらに躍進した。


4人のうちの一人、ウェイド少佐は、後にベンフォルドを離れて警備艇の指揮官になった。ウェイドは、ベンフォルドでの乗組員の力を引き出すやり方をもちいて、1年間でその艦を小艦隊の7隻のうちで最も優秀な艦に変えた。


すぐれたリーダーシップのもう一つのすばらしい側面は、ウェイドのような後継者を生み出し、それが組織全体に広がり、さらにすぐれた後継者を生み出す好循環が生まれることだ。組織全体が勝利すれば、そこにいる全員の勝利である。誰も「負け組」になる必要はない。「負け組」が必要な組織など、偽物である。


まとめ

この本の帯に「こんなに『泣けるビジネス書』はなかった!」とあるように、最後の章では涙を誘うエピソードで締めくくられています。

「こんなリーダーと働きたい。」そして、「こんなリーダーになりたい。」と感じずにはいられない一冊ではないでしょうか。


林 英利

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)代表理事。大和ハウス工業(株)、トヨタ自動車(株)などを経て、プロコーチ・研修講師として独立。2015年より銀座コーチングスクール代表。国際コーチ連盟(ICF)日本支部 顧問