JRLA Staff Blog

コリン・パウエルのルール(自戒13カ条)(後半)

コリン・パウエルのルール(自戒13カ条)(後半)

🕙 2020-04-22 06:00 👤 林 英利

前回に続き、元・アメリカ国務長官コリン・パウエル氏。彼が座右の銘にしている「13カ条のルール」をご紹介します。

7.他人の道を選ぶことはできない。他人に自分の道を選ばせてもいけない。

自分ひとりで決めろという話ではない。助言は求めるべきだ。ただし、気をつけなければならない点がある。あなたはこうすべきだという確信があり、色々とアドバイスしたい人が世の中には多い。また、助言者にも決断の影響はおよぶことが多く、あなたより助言者にとって都合の良い方向に誘導されがちだ。決断においては、事実に基づく自分の直感が一番大事であることを忘れてはならない。(補足:利害関係にある助言者の都合の良い方向に誘導されることに注意が必要だ。)


8.小さなことをチェックすべし。

~ 釘がないので、蹄鉄が打てない。蹄鉄が打てないので、馬が走れない。馬が走れないので、騎士が乗れない。騎士が乗れないので、戦いができない。戦いができないので、国が滅びた。すべては蹄鉄の、釘がなかったせい。~ 有名なこのマザーグースは、ごく小さな問題が重大事を引き起こす様をうたったものだ。出世すればするほど、虚飾とスタッフに囲まれてほかが見えなくなる。現場でなにが起きているのか、確認する必要性が高まるのだ。


9.功績は分け合う。

なにかうまくいったとき、その功績は底辺に至るまで全体のものとしなければならない。自分がいたからうまくいったのだと、関係者全員が思うようにするのだ。実際、そのとおりなのだから。人はパンと水のみで生きるわけではない。食べ物と同じくらい、他人の役に立っているという実感や他人からの承認が必要なのだ。


10.冷静であれ。親切であれ。

冷静沈着であれば秩序が維持される。可能性をきちんと全部検討することができる。秩序が乱れることがあっても立て直しがきく。さらには、どなりあいをせずにすむ。冷静さと同じように親切心も部下の安心と信頼につながる。親切心は、尊敬しあうという形で自分と他人をつないでくれる。部下のことを考え、親切な態度で彼らに接すれば、部下もリーダーのことを考えて動いてくれる。リーダーが失敗しないようにがんばってくれる。リーダーが与えた仕事を一生懸命にやってくれるのだ。


11.ビジョンを持て。一歩先を要求しろ。

部下は、リーダーが自分たちをどのような目的でどこへ連れてゆこうとしているのかを知る必要がある。組織が実現しようとしているものを表す言葉としては、ミッション、目標、戦略、ビジョンなどがよく知られている。私は、別の言葉を使ったほうがいいと思っている──「目的」だ。「目的意識」「目的は?」「目的にかなう」など、とてもよく使われる言葉だからだ。目的とはビジョンの終着点でもある。ビジョンにエネルギーを注入し、力強く前進させるのが目的だ。


12.恐怖にかられるな。悲観論に耳を傾けるな。

恐れは自然な感情だ。それ自体が大きな問題と言うわけではない。おそれに対する準備を整え、直面したら恐れをコントロールしよう。恐れにコントロールされてはならない。恐れにコントロールされる人物にリーダーの資格はない。

悲観的で反対ばかりする人は、どこにでもいる。彼らにとっては、それが一番安心なポジションなのだろう。反対ばかりする人の言葉はさまざまな意見のひとつとして参考にとどめるべきだ。耳を傾けるべき人から話を聞き、最後は、恐れをおさえて直感に従うのである。悲観論者は進歩を殺す。皮肉から生まれた帝国や素晴らしい都市、パワフルな企業など、いったいいくつあるだろうか。


13.楽観的でありつづければ力が倍増する。

常に楽観的であること、自分を信じること、自分の目的を信じること、自分が勝つと信じること、情熱と信頼を示すことは倍力装置だ。部下を信じ、準備を整えさせておけば、部下はリーダーを信じてくれる。

こんな経験をしたことがある。ある冬の日の夜遅く…


まとめ

前回と今回の2回に分け、コリン・パウエルのルール(自戒13カ条)をご紹介しました。当ブログでは、それぞれの条文とその概要を記しましたが、本著には、これらの条文とともにコリン・パウエル氏の実体験が語られており、裏付けと強い納得感を得ることができます。ぜひ、ご一読ください。


林 英利

JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)代表理事。大和ハウス工業(株)、トヨタ自動車(株)などを経て、プロコーチ・研修講師として独立。2015年より銀座コーチングスクール代表。国際コーチ連盟(ICF)日本支部 顧問