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言葉を飼いならす
言葉を飼いならす
あなたはリーダーとして、どのような言葉を発し、相手にどのような影響を与えているでしょうか。今回は、リーダーが発する言葉について考えてみましょう。
言葉は”野獣”?
あなたにも、上司や関係者などから受けた言葉で、深く傷ついたことや勇気を与えてもらったりした経験があるのではないでしょうか。
言葉は目に見えないものではありますが、時に、相手を傷つける凶器になったり、薬のように癒してくれたり、あるいは、栄養ドリンクのように元気を与えてくれるものでもあります。
17世紀にスペインで活躍した著述家であり修道士でもあった、バルタザール・グラシアンは、著作の中で、言葉について次のように述べています。
“言葉は飼い慣らされていない野獣と同じ。一度解き放つと戻ってこない。賢人は言葉づかいをうまく制御している。言葉は心の窓であり、そこから心理状態が相手に見えるからだ。”
言葉で相手を傷つけない3つの方法
では、あなた自身は普段、どのくらい自分の言葉に注意を配っているでしょうか。相手を傷つけてしまったり、勇気を与えたりする割合は、それぞれどのくらいでしょうか。また、その割合をどの程度まで変化させたいと思うでしょうか。
凶器を振り回したいと思うのは犯罪者くらいしかいないと思います。きっとあなたも、人を励ましたり、勇気を与えるような言葉を多く発したいと思われていることでしょう。
では、相手を傷つけず、勇気を与えるような言葉を多く発するようになるためには、どのようにしたら良いのでしょうか?
以下に3つの方法を提案したいと思います。
1)脳と口の間に関所を設ける
失言の多い人は、脳と口が直結しているかのように、思ったことをすぐに口に出してしまう傾向があります。
思ったことを発言する前に、脳から送られてきた言葉を一度のど元でせきとめ、その言葉を発した場合の影響を考えてみるようにします。
自己啓発の名著と言われる「7つの習慣」には、怒りなどの感情が湧いた時には、自分自身の「一時停止ボタン」を押して心を落ち着かせるようにと書かれています。また、アンガーマネジメントにおいては、怒りの感情が湧いた時には6秒をやり過ごすことを推奨しています。
発言して後悔することが多い人は、このような方法を取り入れてみると良いでしょう。
2)「Iメッセージ」と「Youメッセージ」を使い分ける
一般的に、ネガティブな内容を伝える時は、相手を主語とした「Youメッセージ」ではなく、「私」を主語とした「Iメッセージ」で伝えると、相手の反発心を和らげ、伝えたいことが上手に伝わるようになります。
例えば、部下が誤った理解をしていると思った時に、「君は間違っている」というような断定的な口調で言うのではなく、「私には、君が誤った理解をしているように思える」のように、自分を主語にして少し譲歩するような伝え方をすることで、相手の気を悪くさせず、また相手に弁明の余地を残すことができます。
一方で、褒めたり讃えたりするときには、「君はすごい!」などのように、「Youメッセージ」を使う方が、より強い言葉として伝えることができます。
3)言葉を選ぶ
同じような意味を持つ言葉でも、与える印象をネガティブからポジティブに変えることができます。例えば、「細かいね」ではなく「丁寧だね」の方が、「理屈っぽいね」よりは「リスク管理が得意かもね」の方が、相手の気を悪くさせずに、やんわりと指摘することができます。
まとめ
先出のバルタザール・グラシアンが「言葉は心の窓」と表現しているように、言葉にはその人の心や品格があらわれます。
「一緒に働きたい」と言われるリーダーには、発する言葉にも魅力が備わっているものです。
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林 英利
JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)代表理事。大和ハウス工業(株)、トヨタ自動車(株)などを経て、プロコーチ・研修講師として独立。2015年より銀座コーチングスクール代表。国際コーチ連盟(ICF)日本支部 顧問