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リーダーがとるべき“聴き方”とは?

リーダーがとるべき“聴き方”とは?

🕙 2020-06-19 06:00 👤 大石 典史

リーダーがとるべき“聴き方”について、『スタンフォード式 最高のリーダーシップ』の著者であるスティーヴン・マーフィー重松氏は、どのように捉えているのでしょうか?

『効果的なコミュニケーション』における「アクティブ・リスニング」

先回のJRLAブログでは、『コーチングのコア・コンピテンシーとリーダーのあり方』と題し、国際コーチング連盟(ICF)のコア・コンピテンシーを取り上げ、その中にある4つのカテゴリーについて触れました。

A. 基盤を整える(SETTING THE FOUNDATION)

B. 関係性を共に築く(CO-CREATING THE RELATIONSHIP)

C. 効果的なコミュニケーション(COMMUNICATING EFFECTIVELY)

D. 学びと結果を促進させる(FACILITATING LEARNING AND RESULTS)

私は、先回のブログにも書いたとおり、これらは、リーダーのあり方と密接に関わるものであるという持論がありますが、今日はこの中の『効果的なコミュニケーション(COMMUNICATING EFFECTIVELY)』の項目のひとつである「積極的傾聴(アクティブ・リスニング)」に注目してみたいと思います。

この積極的傾聴については、ICFのコア・コンピテンシーの中にもちろん詳しく説明されていますが、あくまでコーチの立場としてなので(=リーダーの立場ではないので)、リーダーの立場で語ろうとすると、少々ギャップを感じるかもしれません。


リーダーがとるべき9つの聴き方

そこで、ここでは、スティーヴン・マーフィー重松氏が自著である『スタンフォード大学 マインドフルネス教室』(講談社)の中で取り上げている「アクティブ・リスニング」の基本原則から、リーダーシップにおけるそれを見てみたいと思います。

なお、スティーヴン・マーフィー重松氏を簡単にご紹介しておくと、氏は、スタンフォード大学の心理学者で、マインドフルネスやEQでグローバルスキルや多様性を高める国際的な専門家として知られており、教育、医療分野を中心に活躍されています。最近では、同じく自著である『スタンフォード式 最高のリーダーシップ』(サンマーク出版)がベストセラーになっていますから、ご存知の方も多いかもしれません。

さて、氏がスタンフォード大学で教えているアクティブ・リスニングとは・・・、

① 物語を理解するために聴く

話されている言葉からその伝えられ方にまで注意を向けて、語られる話を理解しようとする

② すべての感覚を使って聴く

相手のボディランゲージが表す非言語コミュニケーションにも注目する

③ 心で聴く

相手から伝わってくる感情に注意を払う

④ 聴いていることを知らせる

自分は聴いているのだと、言葉やそれ以外の方法で話し手に伝える

⑤ 耳にしたことを相手にそのまま返す

聞いたことを繰り返すことで、相手が心情を明瞭に話すのを助ける

⑥ もっと話すように促す

解説やくわしい説明を求めるような質問を投げかけ、興味を持っていることを相手に知らせる

⑦ 価値判断を差し挟まない

価値判断や批判は保留して、話しても安全だという雰囲気を作る

⑧ 好奇心を抑える

相手がしたい話から逸れてしまうような好奇心や質問は抑えておく

⑨ 思いを共有する

相手のなかにポジティブな姿勢、明るい兆候を探し出して、それを分かち合う

まとめ

氏は同著の中で、アクティブ・リスニングができるようになるためには、トレーニングに加えて、意識を変える必要があるとしており、具体的には、「頭だけで聴こうとはせずに、全身全霊で聴く」ことを主張しています。

リーダーであるあなたが、徐々にでもこれを実践することができるようになれば、メンバーと信頼関係を築くことはもちろん、話の内容に基づいたより積極的な働きかけができるようになるでしょう。

大石 典史

東証一部上場企業2社を含む4社で法人営業、コンサルタント職、人事総務等を経験。現在は、銀座コーチングスクール(GCS)丸の内校代表、研修講師、パーソナルコーチを務める。国際コーチ連盟(ICF) 認定コーチ(ACC)。