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書籍紹介「課長のABC 2分で変わるマネジメント」
書籍紹介「課長のABC 2分で変わるマネジメント」
今回のブログでは、行動分析の専門家で日経ビジネスの「課長塾」にも登壇する、石田淳氏の書籍をご紹介します。
書籍の中からリーダーとして心に留めておきたいと感じたセンテンスについて、要約とコメントを記します。
コミュニケーションは「AI」を見習え(「第1章 部下を育てる」から)
[ 要約 ]
AIの声に恋愛感情を抱く人が増えていると言われているが、その理由は、メッセージを送ればすぐに肯定的な返事が返ってくるからだ。部下からメッセージが届いたら、まずは肯定的な反応をすぐに示した上で、検討後に問題があれば指摘することが望ましい。ろくな反応も示さずにおいて、時間がたってから「あれ、やっぱり難しいね」と言われたら、誰だって嫌になる。
メールであろうと、直接の会話であろうと、まずは「受け止めた」という反応を示すことが相手を安心させる上で有効です。すぐに検討することができなければ、「メールをありがとう。いま立て込んでいるので、返信まで少し時間が欲しい」などと一報を返せば、部下も安心して仕事に取り組むことができます。自分が部下の立場になって考えてみれば明白でしょう。
「スローガン」は届かない(「第1章 部下を育てる」から)
[ 要約 ]
上の人間が第一に考えるべきは、社員の「やる気」を喚起することではなく、彼らが利益に繋がる行動をとってくれるような仕組みや環境をつくること。「主体的にやれ」などの曖昧なスローガンは、言った本人が「いいこと言った」と満足するだけで、部下の方はどうしていいのかまったくわからない。部下たちが上司に求めているのは、行動に移せる具体的な指示だ。
漠然としていたり、抽象的なままでは行動を起こすことができません。部下たちの経験が少ないうちは、上司の方から具体的な行動を示す必要がありますが、経験値が増えれば、1on1ミーティングやコーチングを行い、上司は部下から具体的な行動を引き出すことができるようになります。また、部下たちが自ら行動を考え実行することができると「やる気」もおのずと高まります。
上司部下の関係は、親子の関係をヒントにすることもできます。例えば、健康面を意識して子どもにニンジンを食べさせようとするならば、そのままニンジンを皿に乗せて食べさせようとはせず、すりつぶしてカレーの中に入れたりして、親は子どもが食べやすくするための工夫をするでしょう。
同様に、企業の中で上層部がスローガン的な指示を出した場合には、その下の管理職が、それを部下たちが実行できるように「調理」する必要があり、その工夫こそが管理職の「腕の見せ所」なのではないかと思います。
大切なことは、組織の目的や目標に向かって、部下が行動しやすくすること。部下の力量や経験値に合ったサポート方法を選択する必要があります。
「重要だが緊急ではない仕事」が結果を分ける(「第3章 行動で変える」から)
[ 要約 ]
目の前の緊急タスクに力を注ぎすぎて、もっと大事なことがおろそかになっている場合がある。重要な仕事は、もともと困難で取りかかるのに勇気がいるものが多いため、つい後回しにしてしまう。一方で、さほど重要でない仕事は、取り掛かりやすく、とりあえずそれをやることで「自分は頑張って働いている」と思い込むことができる。「重要だが緊急ではない仕事」から目を逸らさないマネジャーが、やがて大きな結果を手にすることができる。
重要なことが後回しにならないようにするためには、どのようにしたら良いのでしょうか? まずはそのことをしっかりと考える時間を1時間でもとり、企画書化してみるのも良いでしょう。目的や目標、必要となることなどを洗い出し、スケジュールを書き出してみましょう。誰かメンバーを加えたり、社外のコーチを活用するのも手かもしれません。
まとめ
本書では、著者の専門性(行動分析)を踏まえ、部下の「やる気」や内面を第一に考えるのではなく、「結果に繋がる行動」にフォーカスすることの重要性について説かれています。
リーダーとして、組織の目的や目標の達成を実現させる上で「マネジメント」は重要ですが、同時に、スタッフのモチベーションを高め、行動に繋げる「リーダーシップ」の開発も忘れてはなりません。
マネジメントとリーダーシップについては、過去のブログ「リーダーシップの基本3原則」も合わせてお読みください。
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林 英利
JRLA(一般社団法人 日本リレーショナルリーダーシップ協会)代表理事。大和ハウス工業(株)、トヨタ自動車(株)などを経て、プロコーチ・研修講師として独立。2015年より銀座コーチングスクール代表。国際コーチ連盟(ICF)日本支部 顧問